2011年01月18日

イメージクラシック「雪」その1

シューマン 交響的練習曲

 鉛色の低い空から今日もひらひらと雪が降ってくる。3月まで続く閉ざされた氷と雪の毎日。希望の進路へ向かって前に一歩踏み出すこともできず、停滞と諦めの中で身もだえしながらも、漠然とした希望を抱きながら、時間の経過とともにやってくる春の訪れを僕は何もせずに今年も待つのだろうか。
 
 今から10年以上前、僕は北海道でフリーターをしていました。就職も決まらず、毎日雪の中をアルバイトで歩いていました。瀬戸内生まれの僕にとって、北海道の鉛色の雪ぞらはあまりにも憂鬱で、わずかな友人を除いて全く縁のないこの土地は文字通り氷と雪で閉ざされた世界でした。いつの間にかはらはらと降り出した雪の中を、シューマン交響的練習曲を頭の中に響かせながら歩いていました。

 この曲の冒頭の暗く沈んだ主題は、とても印象的で、暗さの中にも少し憧れが混じったとても心に響く音楽です。この主題が変奏されていきますが、そのほとんどが短調で、何か鬱的世界がいつまでも続いていくといった印象を与えます。主題は変奏の中で、分散和音で表現されたり、トリルの伴奏になったりしますが、こういった部分は特に「雪がひらひらと舞い落ちてくるような」印象を与えてくれます。

 鬱的世界は終曲になるまで続き、終曲になると突然明るい音楽が勢いよく走り出ます。この部分は「まるで雪と氷の大地にいきなり花畑が姿を現したかのような」音楽で実にシューマン的です。この曲はタイトル通り、非常に音響的な効果が優れていて、この音響効果の方ばかりが、この曲の特徴としてあげられる傾向があるようですが、僕は内的抒情の豊かさの方が外面的な音響効果以上のものがあると思っています。


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ラベル:シューマン
posted by やっちゃばの士 at 00:05| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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