2011年06月05日

イメージクラシック「風」その4

ドビュッシー 『二つのアラベスク』より第1番

 さわやかな風が暖かい日差しの中を流れていく1日でした。澄んだ青空と青空を流れていく白い雲を見ていると、連日の雨の暗い日がうそのように思われます。


さわやかにそよぐ風
白いちぎれ雲は流れ
小川はきらきらと輝く
そして
時間がゆっくりと流れていく

 ドビュッシー2つのアラベスクの第1番。アルペジオ風な分散和音の流れるような調べはなんとさわやかなことでしょうか。アラベスクとは「アラビア風唐草模様」という意味の言葉で、この言葉はエキゾチックで優美なイメージを抱かせます。ドビュッシーは第1番をおそらく流れるような唐草模様をイメージして作曲したのでしょう。さわやかな初夏の風を感じながら聴きたい曲です。

ラベル:ドビュッシー
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2011年06月01日

イメージクラシック「風」その3

ドビュッシー 前奏曲第1巻より第7曲『西風が見たもの』

 5月の終わりというのに寒い風が吹きつける1日でした。急に寒い日に会うと驚きとともに、自然のメカニズムの妙というものを感じます。この寒い風がこれからずっと吹くのではないかという不安と季節外れの寒さを楽しむ気持が入り混じった1日でした。

自然の強い風の動きを連想させてくれるのが、ドビュッシーのピアノ曲『西風が見たもの』です。ここには、情緒や強風にあおられる人の思いなどはなく、ただ強風の物理的な動きが描かれています。そうかといって、無機質な音の動きだけがあるわけではなく、それとない音階は存在しています。まるで自分自身が強風の空間の中で揺れているような気持ちになります。音がイメージ(映像)になって語りかけてくるからでしょうか。

ラベル:ドビュッシー
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2010年10月27日

イメージクラシック「風」その2

ショパン ポロネーズ第1番、第2番

 この秋はじめて吹く木枯らしに、桜の紅葉がひらひらと飛ばされていくのを見ました。まだ暖かい日が来るだろうと思いながらも、季節の移り変わりの速さを実感しました。

 季節は循環するので、次の暖かい季節の到来を誰しもが疑いません。したがって、季節は希望の絶対指標となります。人は古来から人生を季節の循環に例えてきました。「厳しい冬を乗り越えて、明るい春がやってくるだろう」という思いは誰しもが抱いてきたのではないでしょうか。

 ショパンにとっての春は、祖国ポーランド解放でした。ショパンが生まれたポーランドはショパンが生まれる半世紀ほど前から、ロシア、ドイツ、オーストリアの侵略を受け、領土を奪われてきた歴史を持っています。ショパンの生まれる15年前の1795年には領土を外国によってすべて奪われてしまいました。ショパンは侵略国から弾圧を受ける同胞の姿を見ながら少年時代から青年時代の多感な時期を過ごします。ショパンが20歳の時、ウィーンに留学に行きますが、その直後ワルシャワで武装蜂起が起こったため、パリに行くことを決意したのでした。フランスは3つの侵略国からポーランドを守ってくれる希望の国でした。その後、彼は終に故国ポーランドに戻ることはなかったのです。

 ショパンの音楽が上記のような国の運命に影響を受けていると思うことがよくあります。彼の音楽には演歌のようなところがあり、僕はポーランドと同じ保護国としての屈辱を味わった韓国の歌が持つ「恨(ハン)の心」に近いものがあるように感じます。

 ショパンのポロネーズ第1番、第2番の中に僕は「恨(ハン)の心」を感じ取ります。ショパンにはソナタやバラード、スケルツォといった暗い情熱を感じさせる作品は多くありますが、祖国への想いを感じるという点ではポロネーズが一番です。彼は少年時代から多数の習作ポロネーズを作曲してきましたが、はじめて本格的作品として出版したのがこの第1、第2ポロネーズです。ポロネーズはポーランドの民族舞踊ですが、この2作には民族色はほとんど出てきません。その代り何か強い想いを抱かせる力を持っています。特に、第1番冒頭の強靭な連打音は一度聴いたら忘れられない強烈な印象を与えてくれます。




ラベル:ショパン
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2010年10月25日

イメージクラシック「風」その1

ドヴォルザーク 交響曲第7番二短調

 10月も20日を過ぎ、肌寒くなってきました。特に曇り空の日の風は冷たく寂しさを感じさせます。木々は風にざわめき、これからやってくるだろう「厳しさに向かっていく」強い意志を抱きながら身を震わせます。

 ドヴォルザーク交響曲第7番は、晩秋の木枯らしを思わせる「寂しさ」と「強さ」を併せ持った曲です。彼は生涯9曲の交響曲を作曲しましたが、第7番はその中で一番荒々しい雰囲気を持っています。ドヴォルザークの交響曲の特徴は、美しい郷愁をそそるメロディとスピード感あふれる音楽の進行にありますが、この曲には、「郷愁」よりも「力強さ」を強く感じさせてくれる印象があります。

 ドヴォルザークの交響曲の中で短調の交響曲はこの交響曲と第9番『新世界より』、第4番、第1番の4曲で、そのうち第7と第4が二短調という調性です。二短調の交響曲にはベートーヴェンの第9、ブルックナーの第3、第9、フランクの交響曲のように「厳しさ」と「強さ」を併せ持った名曲が多いです。この2曲もそうですが、二短調という調性は短調でも、「悲しみ」よりは「強さ」を感じさせるようで、交響曲の成功要素として必要な緊張感を生みだすのに一役買っているように思います。


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