2013年10月13日

イメージクラシック「風」その14

ブラームス 『2つのラプソディ』より第1番ロ短調

ひんやりとした秋の風に揺れるコスモスの花

 日差しの強い日がここのところ続いていますが、青い空とコスモスの風景に流れて来る風は、紛れもない秋の風です。秋の風は僕の心の中のフィルムを晩秋に向かって回し続けます。そして、今年の秋こそはという毎年感じる強い思いに満たされます。

 ブラームスのピアノ曲『2つのラプソディ』第1番は、晴れた秋の日に吹く風のような趣をもった主題で始まります。抒情的な秋の風景に、時折り緊張感を与える低音の響きが印象的です。ブラームスがこの作品を作曲したのは、2曲の交響曲を作曲した後、40代半ばのまさに実の秋とでもいうべき時期でした。人生の秋を迎えたブラームスの自信と寂しさがひしひしと感じられる作品になっています。

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2013年05月10日

イメージクラシック「風」その13

メンデルスゾーン 弦楽八重奏曲変ホ長調より第1楽章

こんこんと湧きあがる創造の泉

 五月のさわやかな風が、緑の若葉を揺らす美しい日が毎日続いています。悩みを忘れてしまうような、さわやかさと生命力に溢れたこの環境において、ぜひとも聴きたくなるのがメンデルスゾーン八重奏曲変ホ長調です。

 この曲は聴く人に、こんこんと湧きあがってくる泉のような豊かな楽想を抱かせます。僕は日々、ビジネスのアイデアのことばかり考えながら、行き詰ってしまうことも多いのですが、この曲を聴いていると、ふっと斬新なアイデアがひらめいてくるような気持ちになります。

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2012年10月29日

イメージクラシック「風」その12

ブラームス 交響曲第2番ニ長調より第1楽章第2主題

静かな夕闇の木立
さあっと西風が葉っぱを揺らす

 ブラームス交響曲第2番の第1楽章は自然に満ちた曲です。この曲はベートーヴェンの交響曲と比較され、ブラームスの田園とまで呼ばれました。ベートーヴェンの田園が描写的な音楽だとすると、ブラームスの田園はとても内面的です。ベートーヴェンの田園を聴いていると美しい田園風景が絵画的に浮かび上がってくるのに対して、ブラームスの田園は自然の情緒のようなものが象徴的に浮かび上がっては消えていくイメージです。分かりやすく言えば、前者ははっきりとした昼間の世界の自然を、後者は漠然としたの中の自然の風景を表しているように思います。

 ブラームスはこの作品を南オーストリアの避暑地ぺルチャハで書きました。作曲中友人に「ヴェルター湖畔の地にはメロディがたくさん飛び交っているので、それを踏みつぶしてしまわないよう、とあなたはいわれることでしょう。」と手紙に書いていることから、彼は自然から無数のインスピレーションを受けながらこの曲を作曲したようです。自然を連想させる印象的なパッセージがあまりにも多いので、僕はどのカテゴリーに入れればいいのか迷ってしまいました。そこで今回はこの曲の第1楽章の中でも最も好きなパッセージである第2主題を取り上げてみました。

 第1楽章の第2主題はチェロの微妙に憂いを帯びた柔和な旋律を持つとても奥の深い音楽です。とても印象深い音楽で、おそらく一度聴いたら忘れられない人が多いのではないかと思います。僕自身はじめてこの曲を聴いた中学生の時、この第2主題の深い叙情に感動して、ブラームスの音楽をもっと知りたいと思うようになりました。秋の夕べにさあっと流れて来る西風を感じる旅人のような気分にさせてくれます。

 この絶妙な色合いを持つ第2主題のように、この曲は明るいのか暗いのかよくわからない不思議さを持っています。陽と陰が織りなす妙は、彼が晩年に見せる東洋的な抒情を先取りしてると思います。

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2012年10月25日

イメージクラシック「風」その11

シューベルト 四つの即興曲作品90より第2番

秋の野風に身を委ね
ひらひらと舞い続ける
風はだんだん冷たくなっていく
僕はどこへ行くのやら

 落ち葉が風に舞う光景をしばしば見かけるようになりました。耳を澄ますと、青空上空で舞う風のごおっという音と、葉の揺れる音ばかりが聞こえてきます。

 シューベルト即興曲作品90の第2曲は、まるで風の動きのような無窮動な音楽で始まります。感情が入らない機械的な音楽はちょっとシューベルトらしくなくとても不思議な感じがします。途中からシューベルトらしい歌う旋律が合流し、最後は慟哭のような強い余韻を残しながら曲を閉じます。

 風に乗ってピアノの無窮動風な旋律が聞こえてきそうです。

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2012年05月26日

イメージクラシック「風」その10

ブルックナー 交響曲第2番ハ短調より第1楽章

冷たい風と
温かい風がぶつかりあい
流れていた音楽は
ためらい立ち止まる

 北の冷たい風と南の温かい風がぶつかり合って、不安定な天気になりがちな今の季節ですが、晴れた風の強い日には、風に揺れる若葉の緑と葉裏の白がとてもさわやかです。このように風にざわつき揺れる若葉を見ていると、ブルックナー交響曲第2番の第1楽章の冒頭のトレモロを思い出します。

 ブルックナーの交響曲第2番は、ブルックナーらしい個性が初めて花咲いた交響曲です。それまで彼は3曲の交響曲を作曲しましたが、どれも成功作とは言い難い出来でした。ひんやりとした憂いを含みながらもさわやかな第1主題、素朴でコラール風の第2主題、ブルックナー特有のリズムが面白い第3主題と、第1主題から第3主題への流れは素晴らしいものがあります。

 この抒情あふれる交響曲も、最初はなかなか評価されることはありませんでした。とくに第1楽章の主題展開部は僕が聴いてもすぐわかるほど盛り上がりに欠けるという欠点を持っています。盛り上がることを自信がないためか、ためらっているような音楽です。度重なる不評にも負けず、ブルックナーはこの交響曲を何度も書き直しました。前の3作と違って彼自身の中ではこの交響曲には手ごたえを感じていたのでしょう。

 さて、上記のような欠点があり、彼の交響曲の中でも目立たないこの第2交響曲ですが、この第1楽章は、ブルックナーの交響曲の中で、最も素朴な美しい叙情を持った作品で、僕は彼の全交響曲の中で、一番気に入っています。

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