2012年06月24日

イメージクラシック「祭り」その4

マーラー 交響曲第7番ホ短調『夜の歌』より第5楽章

長い夜を抜けると
明るくまぶしい祭りが広がる
夜が明けたわけではない
祭りを存分楽しもう

 マーラー交響曲第7番『夜の歌』の第5楽章は、それまでの夜の雰囲気の楽章から一転、明るくにぎやかな音楽になります。夜が明けて朝が来たようにも感じますが、最後に第1楽章の夜をイメージする主題が出て来るので、まだ夜が明けたわけではないことが分かります。僕は、大学1年生の時この曲と出会って以来、夏になると毎年この曲を聴いていますが、この第5楽章の音楽を、まるで夜の祭りの光景のように感じています。

 僕はこの交響曲第7番と第3番は、マーラーの交響曲の中でもとりわけ自然を感じさせる曲だと思っています。彼の世界観(自然観)陽的に表れたのが第3番、陰的に表れたのが第7番です。特に両交響曲の第1楽章冒頭のホルンの主題は、このことを物語っています。どちらも短調ですが、第3番が夜明けを告げるような音楽であるのに対し、第7番の方は闇の世界に入っていくような音楽です。いずれの曲も夏に聴きたいクラシックです。

posted by やっちゃばの士 at 23:08| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 祭り | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年06月17日

イメージクラシック「祭り」その3

ストラヴィンスキー バレエ『ペトルーシュカ』

 僕の住む浦安市では四年に一度の大祭である三社祭が行われ、多くの出店でにぎわいました。夜になってもにぎわいは消えず、提灯と出店の暖色系のライトが祭りの夜を美しく彩ります。

 出店にあるおもちゃを見ると、僕はストラヴィンスキー『ペトルーシュカ』の音楽を想像します。ペトルーシュカの舞台は謝肉祭の市場、活気あふれる市場の中のある芝居小屋で、魔術師によって魂を吹き込まれた人形たちがシニカルな踊りを繰り広げるバレエです。

 バレエのストーリーは結構残酷なものなのですが、ストラヴィンスキーのオーケストラは、とても色彩感豊かで、まるで夜店や提灯の鮮やかな電灯の光を見るようです。そして、出店では生き生きとしたおもちゃも、買って持って帰ると魂を失ったようにつまらないものに見えてくるのが現実だと思うと、ペトルーシュカのストーリーは祭りの本質をついているようにも思えてきます。

posted by やっちゃばの士 at 23:38| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 祭り | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月04日

イメージクラシック「祭り」その2

ベルリオーズ 劇的交響曲『ロミオとジュリエット』より第2部「ロメオ一人、ただ哀しみ、遠くから聞こえてくる音楽会と舞踏会、キャピレット家の饗宴」

 休日の夏の夕べ。今日は夏祭りというのに、僕の仕事はまだ終わらない。世の中の多くの人が働いていないこの時間、僕は汗を流しながら、世の中の楽しみから取り残されたように働いている。あきらめきれない気持ちも、日が沈むにつれ、未練を捨ててやがて未来への希望と期待に変わっていく。さわやかな風が思いを未来へ運び、遠方より祭りのにぎわいをかすかに運んでくる。僕には祭りは無関係だと思いながらも、祭りの享楽の中に知らず知らず僕の思いはひきこまれていく。

 ベルリオーズ劇的交響曲『ロミオとジュリエット』の第2部は、ロミオの悩みが、やがて夕べのそよ風とともにて期待に変わり、大舞踏会の饗宴の中に飲み込まれていく音楽です。この第2部は声楽をともなわないめ、物語のストーリーから離れて、自由な想像に胸を膨らませることができます。現代風に解釈すると、僕が冒頭に記したようなシチュエーションに近いのではないでしょうか。

 遠くから聞こえてくる舞踏会の音楽が次第に近づき、大音響の饗宴の音楽が始まります。この舞踏会の音楽は大変印象的な音楽で、おそらく一度聴いたら忘れることのできない音楽ではないかと思います。ベルリオーズの舞踏会の音楽と言えば、幻想交響曲の第2楽章や、ウェーバーのピアノ曲をオーケストラに編曲した『舞踏への勧誘』がありますが、僕はこのロメオとジュリエットの舞踏会の音楽が一番音楽的に優れていると思っています。大変ゴージャスな雰囲気に満ちており、思わず「」という形容詞をつけて、「大舞踏会」、「大音楽会」と呼びたくなります。現代風に例えれば、これでもかと言うほど花火が夜空に打ちあがる大花火大会のようものではないでしょうか。

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2010年08月11日

イメージクラシック「祭り」その1

ドビュッシー 『夜想曲』より第2曲「祭り」 

 夏の風物詩は何と言っても祭りです。夏祭りのほとんどが花火大会、盆踊りと、夜に行われます。夏祭りはなぜ夜に行われるのでしょうか。昼間は暑いから、花火は夜でなければ映えないからという当然の理由もありますが、僕は


色彩感豊かな光と夜の暗闇が作り出す涼の空間

を祭りを楽しむ人々が求めるからだと思っています。花火が冬ではなく、夏に行われる理由もそこにあるではないでしょうか。光と闇が織りなす色彩感は音楽とともに、祭りを構成する基盤要素です。


 祭りの持つ豊かな色彩感を音楽で表現しようとしたのが、ドビュッシーの管弦楽のための夜想曲の第2曲「祭り」です。「祭り」では色彩感豊かなオーケストラが、祭りが徐々に盛り上がって盛況に達し、終わって静けさに包まれるまでの印象を描きます。ドビュッシーは具体的な祭りの様子ではなく、祭りが心に与える雰囲気や印象を音楽にしようとしたのでした。したがって、この音楽は抽象性、普遍性をもっていて、飽きの来ないのが特徴です。

 ちなみに、この曲のタイトルは夜想曲ですが、ドビュッシーはこの祭りを夜の祭りとは規定していません。したがって、昼の祭りのイメージで聴くことも可能です。しかし、この曲のタイトルは夜想曲なので、夜の祭りをイメージしてとらえる方が、曲全体の統一感を考えると良いのではないかと僕は思います。

posted by やっちゃばの士 at 13:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 祭り | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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