2011年06月22日

イメージクラシック「朝」その6

ドビュッシー 『ベルガマスク組曲』より第1曲「前奏曲」

 今日はひさびさに太陽の光がさんさんと降り注ぐ1日でした。早朝から晴天で、あまりにも明るかったので、僕の長女は目を覚ましてしまい、寝ようとしても寝られなかったようです。朝窓を開けると、

青い空
青い海
さわやかな風


を全身に感じました。これらの要素はすべて朝のさわやかな気分を高めてくれます。ここのところ毎日が曇天の朝だったので、「さわやかな感動」を覚えたものです。

 ドビュッシー『ベルガマスク組曲』第1曲「前奏曲」は、新鮮な空気に触れた時のすがすがしい気持ちよさを感じさせてくれる作品です。朝のすがすがしい空気にぴったりの曲だと思いますが、特に、

田園風景の広がる田舎で迎えるすがすがしい朝

を僕はいつもイメージします。ベルガマスクとは北イタリアのベルガモ地方に伝わる舞曲のことを指すようで、「宮廷的な」という意味もあるようです。僕は「宮廷的」よりも「田園的」な美を感じますが、いずれにせよこの作品は、絵画的な印象と透明感のある抒情が程良くマッチして親しみやすく、有名な第3曲「月の光」に匹敵する傑作だと思います。


ラベル:ドビュッシー
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2011年01月14日

イメージクラシック「朝」その5

チャイコフスキー 弦楽セレナードハ長調より第1楽章

 寒い冬の日の朝。霜の降りた庭に朝日が差し込んでくる。きりりと引き締まるような冷たい空気をただ素通りしていく太陽の光だが、手のひらを当ててみるとかすかに温かい。

 チャイコフスキー弦楽セレナーデの第1楽章の重厚な序奏が、寒い朝にはよく似合います。このいかにもチャイコフスキーらしいメランコリーな序奏はとても印象的な音楽で、何年か前に人材派遣会社のCMで何度も放送され有名になりました。このCMでは、会社を首になるというシチュエーションを効果的に表すために、この音楽を使っていたのでした。

 確かにこの音楽は、「悲しい」「つらい」「きびしい」といったような印象を与える感じがあります。僕が厳しい冬の朝からこの音楽をイメージする理由の一つもここにあると思います。しかし、僕は「きびしさ」や「つらさ」と同時にこの音楽に「さわやかさ」も同時に感じます。この序奏の後、ハ長調の第1主題、弾けるような第2主題と力強くリズミカルな音楽が続いていきます。時折り顔をのぞかせるランコリーな音楽も、さわやかさの中にいつの間にか溶け込んでいくようです。「きびしさ」と「さわやかさ」はまさしく冬の朝のイメージとぴったり重なります。

 この曲はチャイコフスキーとしては珍しく、4楽章のすべてが長調で書かれています。作曲された時期もイタリア奇想曲ピアノ協奏曲第2番など明るい音楽の作曲の時期と重なっていて、作曲家としての充実感や幸福感のようなものが伝わってきます。チャイコフスキー本来のメランコリーと作曲家としての幸福感が見事に結びついた音楽がそこにはあります。

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2011年01月03日

イメージクラシック「朝」その4

スメタナ 連作交響詩『わが祖国』より第1曲「ヴィシェフラド」

 新しい年を迎えました。新年の朝は穏やかですが寒さがしんしんと伝わってくる朝でした。いつもと変わらない朝の風景なのに、新年と思うと何か格別な思いをもって風景を眺めてみるものです。万感思いをもってその瞬間を多くの人が過ごすのではないでしょうか。

 新年の朝にもっともふさわしい曲として、僕はスメタナの「ヴィシェフラド」を挙げたいと思います。この曲はスメタナの大傑作である連作交響詩『わが祖国』の中にある第1曲です。「ヴィシェフラド」とはチェコ語で高い城という意味です。『わが祖国』はスメタナの祖国チェコの伝説や風景に関連した標題を持つ6つの交響詩からなり、第2曲「モルダウ」は取り分けて有名です。他の5曲は「モルダウ」ほど有名ではありませんが、どの曲も「モルダウ」に匹敵する聴きごたえを持った傑作です。第1曲「ヴィシェフラド」の主題は、第2曲「モルダウ」や第6曲「ブラニーク」でも登場し、この連作交響詩の象徴ともいえる音楽です。

 「ヴィシェフラド」の主題は穏やかなハープの響きを持ってはじまります。スメタナによると、このハープの響きは、吟遊詩人の竪琴の響きを表しているとのことです。僕はこの穏やかなハープの響きを正月の朝に聴くと、宮城道雄の『春の海』のあの有名な琴の旋律を聴いているような気分になります。穏やかな音楽の背後に、万感の思いを持って祖国を歌いあげる作曲者の熱い心があるからこそ、この曲が心に響くのだと思います。

 また、この曲は連作交響詩の第1曲目ということで、これから繰り広げられる音楽の世界への期待感の余韻が漂っています。この曲の持つ「始まりの期待感」が1年や1日の始まりにふさわしい音楽としての印象を強めていることは間違いないでしょう。

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2010年11月11日

イメージクラシック「朝」その3

チャイコフスキー 交響曲第3番ニ長調

 の湖畔の朝。紅葉は朝露に濡れ、湖面からは湯気が立っている。人里離れたこの朝の情景の中に人の姿は見えないが、そこには小さな生き物たちの生活がひっそりと営まれている。太陽の登場とともに活動を始めるのを、息をひそめて待っている。あたりは次第に明るくなっていき、山の端の上には青空が広がっていく。

 チャイコフスキー交響曲第3番の冒頭のほの暗い序奏は、上記のような情景を抱かせてくれます。チャイコフスキーはとても繊細な神経を持った人でした。そのような性格のせいだと思いますが、彼は弱い者や小さいものへの関心が強く、大人のリアルな世界から離れた童話やおとぎ話などの世界の音楽を描くのが得意でした。

白鳥の湖』、『眠れる森の美女』、『くるみ割り人形』の3大バレエ
オペラ『スペードの女王』


などを始めとした作品や、その他のオーケストラ作品の中でしばしば登場するメルヘンチックなワルツなどには、まさに童心に帰った大人が抱く童話や物語の世界への憧れや、小さきものへの愛情が強く感じられます。同じような傾向を持つ作曲家としてラヴェル、マーラーがいますが、マーラーの交響曲第7番『夜の歌』はこの曲の雰囲気と編成によく似ています。

 交響曲第3番は全5楽章からなり、舞曲のように躍動的な両端楽章と抒情的な美しい3つの中間楽章からなります。全体から受ける印象としては交響曲よりも組曲という感じがします。チャイコフスキーは6つの交響曲のほかに4曲のオーケストラのための組曲を残していますが、組曲という編成は抒情的な音楽を得意とする彼の音楽様式には最もぴったりくるものだったのではないでしょうか。組曲もどきの交響曲として、交響曲としての評価は低いようですが、バレエの舞曲のような躍動感と小さいものをいとおしむような美しい抒情は絶品です。この曲は『白鳥の湖』と同時期に書かれたものであるせいか、『白鳥の湖』が持つ音楽の特徴がストレートに反映されています。


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2010年08月13日

イメージクラシック「朝」その2

リムスキー=コルサコフ スペイン奇想曲よりアルボラーダ

 リムスキー=コルサコフは海軍の軍人を務める傍ら、音楽を学びました。色彩感豊かなオーケストレーションが彼の音楽の最大の特徴ですが、もうひとつが海軍時代にいろいろなところに航海した体験が生み出すエキゾチックな情緒です。

 スペイン奇想曲の有名なアルボラーダは、南国の朝の雰囲気を伝えてくれる活気に満ちた音楽です。旅先のホテルで、朝の海を眺めながら朝食を食べるときにぴったりな曲だと思います。

青い海
爽やかな風と空
白いテーブルの上のオレンジ

わくわくした旅がこれから始まります。


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