2013年01月24日

イメージクラシック「朝」その11

ショスタコーヴィチ 交響曲第11番ト短調『1905年』より第1楽章「宮廷前広場」

凍りつくような冬の朝の静けさと緊張感

 厳しい寒さが続きます。特に朝の大都市のビルの谷間では、肌を刺すようなピリピリとした空気が鋼鉄のような厳しさで、肌の温もりを奪おうとしていきます。このように非常な自然の中にあっても、体内の血液は決して凍ることはなく、人間の生命力の強さを実感します。

 真冬の朝の厳しさと血の温もり、この言葉から僕はショスタコーヴィチ交響曲第11番『1905年』の第1楽章「宮廷前広場」の音楽を連想します。この音楽は、帝政ロシア時代末期に起きた「血の日曜日事件」をテーマにしたもので、ロシア軍の発砲によってデモに集まった労働者たちが血に染まる前の静かな朝の宮廷前広場の様子が描写されています。弱音器をつけた弦楽器が事件が起きる前の不気味な静けさを、遠くから聞こえるトランペットがデモに集まってくる労働者たちの様子を表しているようです。

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ショスタコーヴィチ





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2012年04月21日

イメージクラシック「朝」その10

ヴォーン・ウィリアムズ ロンドン交響曲より第1楽章

濃い霧に覆われた早朝のロンドン
陽が昇るとともに
霧は晴れていき
時計台の鐘の一撃が
もやもやとした空気を吹き飛ばし
忙しいロンドンの朝が始まる

 四月は入学、入社、あるいは異動転勤と、新しい環境での新しい出発の月です。春らしい明るい服装も手伝って、四月の大都市の朝の風景はとても生き生きとしています。

 20世紀のイギリスの作曲家ヴォーン・ウィリアムズロンドン交響曲の第1楽章は、ロンドンの朝の様子の描写で始まりますが、これがまた春の大都市の活発な風景によく似合います。色彩感豊かなオーケストレーションと親しみやすい旋律が特徴的で、都市を描いた音楽作品としてはレスピーギの交響詩『ローマ三部作』に比肩する曲だと思います。

 この曲はヴォーン・ウィリアムズの第2交響曲に当たり、作曲されたのは第1次世界大戦直前の時期で、彼はこの曲の初演の後、イギリス軍に従軍することになります。この戦争では彼の知人を含め多くのイギリス人が亡くなりました。大戦後、交響曲第3番にあたる田園交響曲を作曲しますが、この交響曲から彼の作風は内省的なものになります。大戦は彼の音楽に大きな影響を与えたようです。

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2012年01月15日

イメージクラシック「朝」その9

ショスタコーヴィチ 交響曲第7番ハ長調『レニングラード』より第1楽章

 明るい朝の旧江戸川の岸辺を散歩していると、舞浜大橋を通る車や電車のごおっとした音が聞こえてきます。生き生きとした都市の生活。一方岸辺では小鳥が歌い、冷たい川面には白いマンションの映像が映っています。毎日同じように平和な朝が過ぎていきます。

ショスタコーヴィッチ交響曲第7番の第1楽章の冒頭は都市の朝の平和な風景を描いています。

力強い第1主題「生命の主題」
平和な第2主題「平和な生活の主題」

はまるで絵に描いたような平和な都市の生活をイメージさせます。あまりにもプロパガンダの絵のような感じなので、かえって非現実的に感じてしまうところがあるのが印象的です。平和な朝の生活は、やがて軍隊の足音によって壊されていきます。

 僕がこの交響曲と出会ったのが、ちょうど高校3年生の今頃、ちょうどセンター試験が行われる直前でした。センター試験の朝、高校から旭川を渡り岡山大学のキャンパスに向かう途中、僕の頭の中では戦いの前のこの平和な朝の主題が鳴り響いていました。やがて来る戦いの時間を想像しながら。


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2011年09月06日

イメージクラシック「朝」その8

ブルックナー 交響曲愛4番変ホ長調『ロマンティック』より第1楽章

霧が煙る秋のふるさとの朝
角笛の音と共に日は昇り
霧はだんだん晴れていく
すがすがしい朝を迎えて
野山での楽しい体験が始まる

 ブルックナー交響曲第4番変ホ長調『ロマンティック』の第1楽章の冒頭は、絵にかいたような秋の野の朝の風景を連想させる音楽です。ブルックナーの交響曲は自然を感じさせてくれる曲が多いですが、この曲はそういう意味においてブルックナーの田園交響曲と名付けるにふさわしいと僕は思っています。

 ブルックナーの交響曲をミサ曲も含めて、音楽が表現する空間という観点からみると、3つのグループに分かれると僕は考えます。

@教会(内面) ミサ曲 交響曲第0番〜第1番
A地上(自然) 交響曲第2番〜第5番
B天上(内面) 交響曲第6番〜第9番


このグループ分けから考えると、交響曲第4番はまさにブルックナーの自然交響曲の中心的な存在であると言えます。他の曲と比べて内面的な深みにちょっと欠けるところがありますが、秋の訪れをわくわくした気持ちで待っていると、自然に頭にこの曲のメロディが浮かんできます。秋の情緒を代表する名曲だと思います。

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2011年07月15日

イメージクラシック「朝」その7

ベートーヴェン ピアノソナタ第8番ハ短調『悲愴』より第1楽章

「朝」という言葉からは、さわやかなイメージを感じる人が最も多いと思われますが、そのように感じない人もいるかと思います。「朝」は現実世界の始まりなので、現実に対して、嫌な思いや苦しいことなどがあると、さわやかどころか「重い気持ち」になってしまうのではないでしょうか。そして、「重い気持ち」を感じながらも、元気を出して朝を出発するのです。

 ベートーヴェン『悲愴』ソナタの第1楽章の序奏は、上記のような朝の始まりにぴったりな音楽です。重く沈んだような冒頭の主題が、左手の連打に乗って、繰り返しながら次第に上昇していく様子は、まるで重い心を引っ張って、前へ向かって行こうとする心の動きのように感じます。

 僕は中学生のころ、朝学校に行く前にこの曲をよく聴きました。「負けるものか」という心と、感傷的な心のブレンドに酔っていたのです。この曲は、ベートーヴェンが27歳の時の作品で、『ハイリゲンシュタットの遺書』以前の初期の傑作の一つです。非常に青年らしい息吹が感じられ、ぜひ若いうちに出会うべき曲だと思います。

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