2010年04月02日

キーワードクラシック「入学式」A

ブラームス 『ハイドンの主題による変奏曲』

 先回は、ブラームスの『大学祝典序曲』を取り上げましたが、ブラームスには、意外なことに、この曲よりも入学式にふさわしいと思わさせる曲が他に2曲あります。

@交響曲第1番ハ短調の第4楽章第1主題



Aハイドンの主題による変奏曲

です。@の方は大変有名な旋律なので、おそらく実際にBGMとして使われていると思います。この主題はベートーヴェンの『歓喜の歌』と良く似ていると言われますが、『歓喜の歌』よりもシックな感じを抱かせるのでセレモニーのBGMとして使いやすいと思います。

 Aのハイドンの主題による変奏曲の方は、@ほど有名ではありませんが、「喜ばしさ」と「祝祭的な雰囲気」という点では、ブラームスの作品の中でナンバー1だと思います。地味ですが、聴けば聴くほど「喜ばしい思い」にさせてくれる不思議な作品です。曲の構成はブラームスらしく緻密に作られていますが、曲想が根暗なブラームスらしからぬのです。

 このハイドンの主題というのは、実はハイドン作曲のものではなく、『聖アントニウスのコラール』という古い讃美歌の旋律がオリジナルとなっています。変奏曲の大家ブラームスは、この主題を用いて9つの変奏からなる大曲に仕上げたのでした。

 この作品が作曲されたのは、ブラームスが『ドイツレクイエム』で大成功して作曲家としての地位を不動のものにしてから、長年の課題であった交響曲第1番を作曲するまでの、ちょうど中間点にあたる時期であり、


ブラームス生涯で最大の上昇期!


にあたります。そのためか

「自信」
「喜ばしさ」
「前途洋洋とした思い」
「リラックス」


などという思いが強く伝わってきます。この変奏曲の主題である『聖アントニウスのコラール』自体が「素朴さ」と「喜ばしさ」を醸し出しているのは事実ですが、ブラームスの気持ちがこの主題の雰囲気に合致したということの方がここではより重要で価値があることだと思います。



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2010年04月01日

キーワードクラシック「入学式」@

ブラームス 『大学祝典序曲』

 4月になりました。4月は入学式、入社式と新しい出発の月です。新しい出発となる入学式は、卒業式と違って「涙」や「名残惜しさ」といったキーワードとは無縁ですが、「厳粛」、「堂々」といったキーワードは同じです。「入学式」と「卒業式」に似合うクラシックは微妙に違うんだなと思いながら、「入学式」クラシックを考えてみたいと思います。

 ブラームスの『大学祝典序曲』は大学の卒業式でも入学式でもよく演奏されます。もともと、この曲はブラームスがブレスラウ大学から名誉博士号を授与されたお礼に作曲されました。当初ブラームスはお礼に作曲することを拒んでいたようですが、友人に説得されてしぶしぶ作曲したのでした。

 曲はドイツの4つの学生歌の巧みなつなぎ合わせと展開からできており、情緒的というよりも知的な感じのする作品となっています。ブラームスの音楽の持つ深い内面性と抒情はあまりなく、世間的には有名だが、ブラームスファンからはあまり注目されない作品でもあります。

 輝かしいファンファーレではなく、もぞもぞとした短調の学生歌に始まるところに少々拍子ぬけを食らうのですが、ブラームスのウィットとユーモアが込められたこの作品は、卒業式よりも入学式の方が似つかわしいと僕は思います。

EPSON002.JPG
ブラームスとハンスリック


posted by やっちゃばの士 at 19:41| Comment(0) | 入学式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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