2013年04月10日

イメージクラシック「春」その12

シューベルト 交響曲第9番ハ長調『ザ・グレート』より第1楽章

はじけるような躍動感

 シューベルト交響曲『ザ・グレート』の第1楽章の第1主題は、晴れた春の日に抱く胸の躍動感を感じさせてくれる音楽です。ホルンの牧歌的な序奏を経て、次第に音楽が加速して弾けるように出てくるこ心地よい主題を聴きながら、ずんぐりとした小柄な作曲者が、何か新しいものを抱きながら、野山を飛び跳ねる光景が目に浮かぶようです。

 シューベルトはこの大作を作曲した1年後には31歳の生涯を閉じることになります。この作品は、彼のそれまでの交響曲と比べて、比較にならないほど大きく、まさに突然変異的な様相を持っています。この作品の完成後、「歌はもうやめにした。これからはオペラと交響曲だけにする」と友人に語ったそうです。新境地を開いたものの、まもなくこの世から姿を消した彼の足取りは、何か神秘的なヴェールに包まれています。

EPSON038.JPG



ラベル:シューベルト
posted by やっちゃばの士 at 19:49| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年04月02日

イメージクラシック「春」その11

ベートーヴェン ピアノソナタ第4番変ホ長調

久方やの光のどけき春の日にしづ心なく花の散るらむ(紀友則)

 たわわに咲いた桜の花に午後の温かい光が差し込み、その下を期待に弾んだ胸と緊張した面持ちで進んでいく新入社員。今日4月1日は新しい出発の日です。

 このような春の晴れやかさと出発の緊張を併せ持った作品が、ベートーヴェンピアノソナタ第4番です。ベートーヴェンがウィーンに進出して3年目、25歳の時に作曲されました。このソナタは、そのころレッスンを施していた愛弟子に献呈され、作曲者自身から「恋人」という愛称で呼ばれました。特に第1楽章は明るくやわらかい音の響きを持っていて、春ののどかな日を連想させてくれます。

 第1楽章がとても平和的、女性的な雰囲気を持っているのに対して、他の楽章は変化に富んだ顔を見せます。印象的なのが

深く沈黙し考え込むような第2楽章
戦いにいどむような緊張感を持った第4楽章

で、この曲の持つストーリーは春に新しい出発をした若者が抱く心の動きを描いているように思えてきます。若きベートーヴェンの自信と若者特有の悩みが入り混じったような新鮮さがそこにはあります。

image.jpg
若きベートーヴェン

posted by やっちゃばの士 at 22:58| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年02月22日

イメージクラシック「春」その10

グリーグ ヴァイオリンソナタ第3番ホ短調

石ばしる垂水の上のさ蕨の萌え出づる春になりにけるかも(志貴皇子)

 2月もあとわずか、快晴の日の昼間はちょっと春を感じさせる陽気があります。梅の花が咲いていました。温かく生命が息吹く春はもうすぐ近くに来ています。

DSCF2104.JPG

 厳しい冬から、春への憧れ、岩に当たってしぶきを上げる雪解け水、冬から春の自然の移り変わりをイメージさせてくれる熱い思いに満ちた曲が、北欧の抒情的作曲家グリーグヴァイオリンソナタ第3番です。グリーグ円熟期に書かれたこの曲は、ノルウェー的抒情とがっちりとした構成が共存する傑作だと思います。

第1楽章 厳しい冬
第2楽章 春へのあこがれ
第3楽章 ほとばしる雪解け水

 僕はこんなイメージを抱きながらこの曲をいつも聴いています。特に躍動感とスピード感に溢れた第3楽章は他の作曲家の作品では味わえあない魅力があって、3つの楽章の中で僕は最も好きです。

ラベル:グリーグ
posted by やっちゃばの士 at 23:53| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年05月06日

イメージクラシック「春」その9

ベートーヴェン ヴァイオリンソナタ第5番へ長調『春』より第1楽章

明るい5月の光
再開した噴水
ふんわりとこぼれる虹

 不安定な天気が続いていますが、本当に天気のいい日は春の気持ちよさを実感することができます。過去も未来もすべて忘れて、ただ目の前にある春の温かい風景だけを見て心を躍らせるままにしたいと思います。

 ベートーヴェンヴァイオリンソナタ『春』の第1楽章は、目の前にある温かい春の日の午後の気持ちよさにぴったりとくる作品です。冒頭のヴァイオリンの流麗な第1主題は、おそらくヴァイオリンのために作曲された楽曲の中でも、最も美しい流れを持った旋律です。この作品は最後まで、ベートーヴェン特有の切迫した緊張感がなく、どこまでも美しい旋律の歌が続いていきます。

 作曲されたのは、1801年、ベートーウェン30歳のときで、交響曲第1番、月光ソナタ等と同時期の作品で、ベートーヴェンの初期の傑作群の中のひとつです。「」というタイトルはベートーヴェンが名づけたものではありませんが、音楽の都ウィーンで大作を次々と発表していった若い作曲家のみなぎる自信から来る幸福感がこの作品には満ちているように思います。

IMGP1536.JPG

posted by やっちゃばの士 at 23:16| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月23日

イメージクラシック「春」その8

ブラームス セレナード第1番ニ長調より第1楽章

新緑の新天地での新しい出発

 桜の花が散った後を埋めるように、生命力に満ちた新緑の葉がいつの間にか枝いっぱいについています。明るくのどかな四月の午後は純白な気持ちになるものです。

 ブラームスセレナード第1番の第1楽章の牧歌的なホルンの響きが聞こえてくるようです。この第1楽章は新鮮で幸福な思いに満ちた作品で、ちょっとブラームスらしからないさわやかさに満ちています。そこには意気揚々とした青年ブラームスの姿があります。

 ブラームスは64歳の生涯を送りましたが、彼の作品の持つ抒情は彼のそれぞれの年齢に相応したものになっているのが特徴的です。青年期には若々しい青年らしさ、壮年期には落ち着いた男性らしさ、晩年期には枯れた諦念のような弱弱しさと、ブラームスほど作曲者の年齢が作品にストレートに反映する作曲家も珍しいと思います。

 20歳のブラームスはデュッセルドルフのシューマンを訪ねますが、1年後シューマンはライン川への投身自殺未遂を起こし、その2年後に亡くなります。ブラームスはシューマンの死後、シューマンの妻クララとその幼い子供たちの助力になろうとシューマン家の手伝いをしていましたが、そのような状況のブラームスを見かねた友人が、デトモルトという小さな城下町の音楽教師に推薦しました。そこで彼は女性コーラスの指揮や婦人たちにピアノを教えたりするようになりました。そのような環境で、このセレナードは作曲されたため、さわやかな幸福感に満ちた曲になっているようです。展開部でクララ・シューマンのことを思い出したように音楽がちょっとメランコリーになるのが印象的でいかにもブラームスらしいです。

ラベル:ブラームス
posted by やっちゃばの士 at 19:26| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。