2012年05月29日

イメージクラシック「河」その2

シューマン 交響曲第3番変ホ長調『ライン』より第2楽章

新緑とともに渓谷がとても美しい季節となりました。白く波打つ急流を船で下ったらどんなに気持ちいいことでしょうか。日本国内では船での川下りのことを一般的にライン下りと呼ぶようで、木曽川を下る日本ライン下り、天竜川を下る天竜川ライン下り、荒川を下る長瀞ライン下りなどが有名です。ライン下りはもともとドイツのライン川を船で下ることを指す言葉で、日本の川下りにラインというのはどうかと思いますが、このことはローレライ伝説で有名なライン川の船下りが、川下りの代名詞的な存在であることを物語っています。

 さて、そんな川下りの気分を感じさせてくれる曲が、シューマン交響曲第3番『ライン』の第2楽章のスケルツォです。民謡風のたゆたうような主題は、まるで川波に揺られながらゆっくり進んでいく船に乗ったような気分を感じさせてくれます。

 ラインという標題はシューマン自身がつけたものではなく、したがってこの第2楽章の音楽も、川の流れを描写したものではありません。この曲の印象から、自然とついたニックネームのようです。シューマンは、ライン河畔の町デュッセルドルフに引っ越してきて、ライン川の美しさに感銘を受けてこの交響曲を作曲したのでした。描写音楽ではないけれども、誰しもがそこにライン川の風情を感じ取ることができる、この交響曲は音の持つイメージの力を強く伝えてくれます。

ラベル:シューマン
posted by やっちゃばの士 at 10:12| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月13日

イメージクラシック「河」その1

スメタナ 連作交響詩『我が祖国』より第2曲「モルダウ」 

 月の美しい光がふりしそぐ荒川の河口。寒々とした波の上に、音もなく何事もなかったかのように月はその姿を映していました。雲ひとつない今夜。この春訪れた上流の長瀞でも、同じように月は川面を美しく照らしていることでしょう。

 冬の寒々とした大河を眺めていると、有名なスメタナ連作交響詩『我が祖国』の第2曲「モルダウ」の音楽が浮かんできます。「モルダウ」はプラハ市内を流れる大河で、スメタナはこの河の上流からプラハ市内へ入るまでの情景を音楽で描きました。標題音楽ですが、叙事詩的ではなく、非常に情緒的で内面の深みに訴えかけ圧倒的な感動を与える音楽となっています。スメタナは聴覚を失った状態でこの曲を作曲しました。きっと彼の故郷を思う強い気持ちが特別なインスピレーションを生みだしたのでしょう。この「モルダウ」に限らず、『我が祖国』の交響詩はすべてインスピレーションに満ちた傑作です。

スメタナはこの曲について次のように解説しています。

この河の水源は二つ
それが合流し、中流で川幅を広げていく
川岸では狩りや祭りのにぎわい
夜になると川面に月の光が輝き、妖精が舞う
流れは聖ヨハネの急流となり、プラハに堂々と流れこむ
古城ヴィシェフラドにあいさつを送りながら、流れは遠くに去っていく



ラベル:スメタナ
posted by やっちゃばの士 at 23:18| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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