2012年10月18日

イメージクラシック「旅」その4

ドヴォルザーク 交響曲第2番変ロ長調より第3楽章スケルツォ 

秋の大パノラマを大鷲に乗って舞う

 渓谷が美しい季節がやってきました。週末になると無性に山に出かけたくなって、気分もワクワクします。

 雄大な大パノラマを思いながら、聴きたくなる曲がドヴォルザーク交響曲第2番の第3楽章のスケルツォです。交響曲第2番はマイナーな曲であまり知られていませんが、ドヴォルザークらしい抒情に満ちた旋律が随所に見られ、特に暗い森を思わせる第2楽章と、雄大なパノラマを見下ろすような第3楽章は一度聴いたら忘れられない優れた楽想を持っています。

 第3楽章は、3部形式からなりますが、とても規模が大きく曲の長さが他の楽章と同じく12分余りあります。スケルツォ楽章でここまで大きいものはドヴォルザークの9曲の交響曲のうちこの曲を除いてはありません。中間部はとても雄大、雄渾な音楽で、美しい渓谷を見下ろしながら舞う大鷲のような気分にさせてくれます。

posted by やっちゃばの士 at 21:42| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月11日

イメージクラシック「旅」その3

シューベルト 幻想曲ハ長調『さすらい人』

温かい冬の休日
青空に映える野山に出かけた
ずんずんと進んでいった

午後いつの間にか日は陰り
つめたい湖面は旅人を
深い淵の中へ誘う

風に揺れる波に
再び光が反射し
旅人は弾みながら出発する

 シューベルトさすらい人幻想曲は、小旅行へ誘ってくれます。春の匂いがかすかに漂うこの季節に僕はこの曲がよく似合うと思います。

 この曲が作曲されたのは彼が22歳のときで、まだピアノソナタで自らの様式を確立する前です。自作の歌曲「さすらい人」の旋律が用いられていますが、彼は自作の歌曲の旋律をピアノ曲や室内楽作品にしばしば引用したのでした。第1部の弾む足取りのような伴奏。第2部の移ろうような分散和音。

風は流れ
湖面の色は変化し
時は流れる


 シューベルトは短い生涯の間独身で、ボヘミアンのような生活を送っていました。家庭も固定した職もなかった彼の音楽はまさに旅人の音楽です。

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2012年02月07日

イメージクラシック「旅」その2

シベリウス 『カレリア』序曲

 厳しい寒さの中立春を迎えました。僕はこの立春という言葉が大好きです。文字どおりに取れば「春が立つ」という意味ですが、僕はこの言葉を「混沌の中に基準を立てる」といった主体的な強い意志のイメージでとらえています。

凍りつく真冬の大地に打たれた春の杭の鼓動

 耳を澄ませば春の鼓動が遠くから聞こえてくるようです。春の鼓動はだんだん大きくなり、やがて胸の鼓動を期待で大きく膨らませてくれます。真冬の厳しい海の彼方の方からはるばると春の鼓動は波になって伝わってきます。春を探しに旅に出かけよう。

 シベリウス『カレリア』序曲は、春の鼓動を探し訪ねる旅人の気持ちが伝わってくる曲で、胸がわくわくと高まる曲です。カレリアはフィンランドの南東部にある地方の名前で、この地はフィンランド人の発祥の地と言われています。シベリウスは新婚旅行でカレリアの地を訪れ、そこで得たインスピレーションで劇音楽『カレリア』を作曲しました。『カレリア』序曲はその中の一部で、3曲からなる『カレリア』組曲ほど演奏される機会に恵まれていませんが、旅人の歩行のような明るく躍動する主題と、後半の春の鼓動のように響くティンパニの響きが印象的で、僕は序曲の方が気に入っています。


タグ:シベリウス
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2011年10月29日

イメージクラシック「旅」その1

シューマン 交響曲第3番変ホ長調『ライン』より第1楽章、フィナーレ

心ある人に見せばやみちのくの矢祭山の秋のけしきを(西行法師)

 福島県の南部に矢祭町という町があります。この町は東北産南端に位置し、町の最南部つまり東北の入口には紅葉の矢祭山と清流久慈川が壮大な渓谷美を作っています。一昨年の秋、僕は東京に住んでから10年目にして、初めて家族で宿泊旅行に出かけた地でした。僕はその後何度か矢祭に出かけていますが、最後に水郡線で訪れたのが今年の2月15日です。水郡線沿線の景色はのどかで、まさか1か月後に大地震が来るとは思いもしませんでした。

 秋たけなわの今、もう一度美しい渓谷を見に行きたいと思います。きっとその時、僕の頭の中には、シューマン交響曲第3番『ライン』の第1楽章やフィナーレが駆け巡ることでしょう。これらの楽章には、シューマンがラインの渓谷の美しさから受けた感激がいっぱいに詰まっているように思います。

 『ライン』という標題はもともとシューマン自身がつけたものではありませんが、1850年ライン川沿いの都市デュッセドルフにシューマンが引っ越してからわずか数カ月の間にこの作品は着想され完成したことから、ライン地方の美しさに影響されて作曲されたのは間違いないと考えられています。

 シューマンは躁鬱が激しかったことで有名ですが、気分が乗るととてつもない力を発揮する作曲家でした。おそらくライン交響曲もノリノリの気持ちで書いたことと思います。同じ時期にはチェロ協奏曲ヴァイオリンソナタ等の名曲が生まれています。この時期はシューマンの最後の創作の黄金期になりました。

感激を求めて・・・・。山と渓谷の旅へいざなってくれる随一の曲です。

posted by やっちゃばの士 at 17:45| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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