2013年02月20日

キーワードクラシック「ドラッカー」その2

ハイドン 交響曲第102番変ロ長調より第1楽章

 その種のものの最高のものと思われるものは、指揮者ブルーノ・ワルターがとった方法である。彼は、シーズンの終わりには全団員に手紙を書いたという。「ハイドンのシンフォニーのリハーサルでは、あの難しい一節の演奏であなたからいろいろなことを学びました。ところで、あなたのほうは今シーズン一緒に仕事をしてどのようなことを学ばれましたか」(ドラッカー『非営利組織の経営』ダイヤモンド社より)

 ドラッカーがハイドンを高く評価していたことは、先回の記事で述べました。音楽史上においてハイドンの行なったイノベーションは、ひらめきや天才性とは関係のないドラッカーのイノベーションの模範になるものでした。ドラッカーは、リーダーシップ自己開発といった人に関するテーマについても数多く述べていますが、その良きモデルとしてオーストリアのユダヤ人指揮者ブルーノ・ワルターを上げています。ワルターは、カリスマ性や専制君主制のような派手な指揮者ではなく、控え目で楽団員と積極的な対話を行なう指揮者でした。

 さて、上記のドラッカーの著作に登場する「ハイドンのシンフォニー」とはどの作品なのだろうと、僕はこの文章を読むたびに、思いを巡らせます。ハイドンは生涯に104曲のシンフォニー(交響曲)を残しました。現在録音が残されているCDを聴きながら、僕がこの曲だったらと思ったのが、交響曲第102番変ロ長調の第1楽章です。

 この曲は、ハイドンの最高傑作群となる、交響曲第93番から第104番までのザロモン交響曲集の中の1曲です。この交響曲集の中には、第94番『驚愕』、第96番『奇蹟』、第100番『軍隊』、第101番『時計』、第103番『太鼓連打』、第104番『ロンドン』などニックネームのついた有名な曲がたくさん含まれています。第102番はニックネームを持っていないため、あまり有名ではありませんが、曲の充実性という観点から見るならば、おそらくザロモンセットの中で最高傑作ではないかとと僕は考えています。

神秘的で霧のかかったような序奏
主題の多彩な展開が生み出す緊張感
変幻自在な緩急
聴衆を驚かせようとするユーモアあふれる仕掛け


おそらくこの曲の持ち味を演奏ですべて引き出すのはとても難しいのではないかと思います。ワルターの素晴らしい演奏を聴いて、「難しい一節」を持つ曲とは、この曲ではないでしょうか。

370px-Bruno_Walter_Wien_1912.jpg
若きブルーノ・ワルター


ラベル:ハイドン
posted by やっちゃばの士 at 11:54| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | ドラッカー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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