2012年11月28日

イメージクラシック「晩秋」その2

マーラー 交響曲第9番ニ長調より第1楽章

甘みも苦味もすべて味わい尽くし
今はただ静寂だけが横たわる

 マーラー最後の完成された交響曲である交響曲第9番の第1楽章が持つ渋柿と甘柿合わせたような味を持つ樂想は、晩秋の枯れた情緒を醸し出しています。この枯れた情緒は、それまでのマーラーの交響曲にはなかったもので、僕はマーラーの交響曲の中で、この第9番だけは特別な位置にあるように思います。マーラーの作品では、悲劇的な重々しい音楽がしばしば登場しますが、それらはどれもが甘い耽美的な響きを持っていました。ただ、この第9番の第1楽章の悲劇には耽美的な響きがなく、とても残酷でシリアスな響きがあるように感じます。

 聴いていると苦しくなってくるこの曲を僕が聴こうと思うのが、晩秋の季節です。曲は展開部で、残酷な葛藤の頂点を迎えますが、やがて力尽きたかのように、静寂な響きに包まれていき、曲を終えます。この最後の静寂な部分が僕は好きで、その枯れた孤独な響きは、晩秋の静けさに共鳴しているように感じます。



ラベル:マーラー
posted by やっちゃばの士 at 20:06| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 晩秋 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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