2012年10月30日

イメージクラシック「夜」その9

ワーグナー 楽劇『トリスタンとイゾルデ』より第2幕

さあっと満ちていく潮の流れのように
闇があたりを覆っていく
東の空には月がオレンジ色に燃え
海辺の公園のベンチには女性がひとり
誰かを待っているようだ

 仕事に没頭していて、気がつけばいつの間にか辺りが真っ暗になっていると感じる季節になりました。いつまでも終わらない昼間と違って、早く満ちる夜の海は緊張した気持ちを癒したり、大胆にしたりする作用を及ぼすのではないかと僕は感じています。

 さて、そんな夜の闇の力を極限にまで表現し、賛美している音楽がワーグナー楽劇『トリスタンとイゾルデ』の第2幕です。この楽劇は、生と死、昼と夜、現実と願望、苦痛と快楽の葛藤が音楽のうねりとなって延々と続いていきます。

トリスタンの昼を呪う叫びがとても印象的です。
Dem Tage!Dem Tage!   昼!昼!
Dem tuckischen Tage. 陰険な昼。


そしてトリスタンとイゾルデの二人は高らかに次のように歌います。
O sink hernieder. おお、降りてこい。
Nacht der Liebe.  愛の夜よ。


 この楽劇は全3幕からなり、第1幕と第3幕が昼間の苦痛の世界、第2幕が夜の癒しと快楽の世界というシンメトリックな構成になっています。第2幕はこの楽劇の山(頂点)であると同時に、ワーグナーの全作品の中の頂点ではないかと思われるほど、人を引き込む力がある音楽です。

 僕のクラッシック音楽鑑賞の歴史の中にあって、最も衝撃を受けた作品は何かと問われれば、真っ先にこの作品を上げます。高校生の時、初めて買ったワーグナーのオペラのCDがこの曲でした。その音楽の持つ魔力に圧倒され、僕はワーグナーについてもっと知りたいと思うようになりました。その後すべての彼の代表的な作品を聴きましたが、この『トリスタンとイゾルデ』を超える作品はありませんでした。




ラベル:ワーグナー
posted by やっちゃばの士 at 23:28| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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