2012年06月20日

イメージクラシック「海」その9

メンデルスゾーン 序曲『静かな海と楽しい航海』

僕は毎朝の通勤で東京ゲートブリッジを車で渡ります。ゆるやかな勾配を海の方に向かって上っていく時はとても気持のよいものです。時々、橋の下をとても大きな貨物船が進んでいくのを見ることがあります。音もなく静かに波のほとんどない朝の東京湾を進んでいく船の動きと、その上を横切ろうとする僕の車の動きがクロスする時は、何とも言えないちょっとぞくっとする快感を感じます。

夏の穏やかな朝の海をゆっくりと進んでいく船を見ていると、メンデスゾーン序曲『静かな海と楽しい航海』を思い出します。この序曲はゲーテの2つの詩『海の静けさ』『楽しい航海』を音楽で描写したもので、メンデルスゾーンらしいさわやかで生き生きとした楽想を持っています。

 メンデルスゾーンは海が好きだったようで、彼の作品には「海」を連想させるものが少なからずあります。その理由として、彼がエルベ河畔港町ハンブルクの出身であるということがあると思いますが、それ以上に彼は生涯に何度も海を隔てたロンドンに渡っているということが大きいと思われます。彼の代表的な作品である交響曲第4番『イタリア』、オラトリオ『エリア』、序曲『フィンガルの洞窟』などはロンドンで初演されています。一般的にメンデルスゾーンは裕福な家庭に生まれ何不自由なく育った作曲家として紹介されることが多いのですが、ユダヤ人として生涯迫害に悩み続けた作曲家でもありました。そんな彼にとって、ロンドンはとても居心地の良い場所だったのではないでしょうか。ロンドンへの船旅は彼にとって期待に満ちた楽しいものだったにで海への愛着もそこから生まれたのではないかと僕は想像しています。

posted by やっちゃばの士 at 10:16| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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