2012年05月03日

イメージクラシック「雨」その16

ラヴェル ピアノ三重奏曲イ短調

海岸に打ちあげられた瓦礫に
しとしとと雨が降りかかる
いつの間にか緑が芽生えているが
思い出は決して風化することはないだろう

 ラヴェルピアノ三重奏曲の第1楽章。失われたもの、あるいは失われつつあるものへの、愛おしさや悲しみ、あるいは諦め、またそのように思わずにはいられない状況に対する怒りといった思いが伝わってきます。ラヴェルは第1次世界大戦の最中、フランス軍のトラック運転手を務めながら、この曲を作曲しました。表面上は全くといっていいほど、戦争に対する不安や恐怖等といったものは出てきません。死を決意した、あるいは受け入れた者の透徹した感情が全曲にわたって張り詰めています。

 ラヴェルは有名なボレロスペイン狂詩曲などオーケストラの魔術師としてのイメージが強い作曲家です。したがってラヴェルという作曲家の一般的なイメージはどちらかというと理性的、技巧的な作曲家です。しかし、ラヴェルには時々この世とは思えない深淵を覗き込むような曲想を持た作品が登場します。ピアノ協奏曲の第2楽章や夜のガスパール等です。この曲は民謡風な主題で始まり、前衛的な響きはありませんが、何かとてつもない世界を感じさせる存在感を持った作品だと思います。



ラベル:ラヴェル
posted by やっちゃばの士 at 08:28| 東京 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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