2012年04月22日

イメージクラシック「鳥のさえずり」その1

ブルックナー 交響曲第0番二短調より第1楽章

ほの暗い教会の窓を開けると
風に乗って流れて来る
春の小鳥のさえずり

 ブルックナー交響曲第0番二短調は本来交響曲第2番となるはずでした。ところが、この作品に自信を持てなかったためお蔵入りにしてしまいました。新たにハ短調の交響曲が作曲され、第2番となりました。その後第9番まで傑作を残しましたが、この第0番は二度と日の目を見ることはありませんでした。

 ブルックナーがなぜ自信を持てなかったか、それはこの交響曲を聴いてみるとわかります。ベートーヴェンに代表される交響曲の傑作は、音楽の流れがはっきりしていて、盛り上がるべきところで盛り上がります。ところが、ブルックナーのこの交響曲は、音楽の流れが前へ進むのをためらうようなところがあり、盛り上がりそうで盛り上がらない音楽になってしまっています。ブルックナーの音楽を知らない人がはじめて聴くと、きっとわかりにくいと感じてしまうのではないでしょうか。

 それではこの交響曲は価値がないのかというと、そうではありません。ブルックナーの作品に親しんだ人は、地味とはいえ後のブルックナーの交響曲の特徴が詰まっているので、ブルックナーの魅力を堪能できると思います。第1楽章はとても根暗な曲想なのですが、牧歌的な第2主題と時折登場する小鳥のさえずりのようなフルートが印象的です。

 ブルックナーのシンフォニストとしてのキャリアはミサ曲から始まりました。ミサ曲は3曲とも傑作ですが、ミサ曲という曲の性質上曲想は暗いです。ただ時折自然を感じさせる曲想が登場するのがブルックナーのミサ曲の特徴で、小鳥のさえずりのようなものも登場します。その後第1交響曲を作曲します。この交響曲は勢いはいいのですが、あまり自然を感じさせる要素が少ない作品です。おそらく、ブルックナーは第1交響曲の方向性に行き詰まりを感じたのでしょう。再びミサ曲に近い曲想の二短調の交響曲(第0番)を作曲します。ミサ曲のように暗いけれども、自然の明りがすでに差し込んでいます。それでも彼は自信が持てませんでした。やがて第2交響曲ハ短調において、彼の音楽は暗い教会を去り、明るい田園を目指します。その後、彼の交響曲はジャックの豆の木のように、天をめがけてすくすくと成長していくのでした。

ラベル:ブルックナー
posted by やっちゃばの士 at 15:37| 東京 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 鳥のさえずり | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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