2011年11月17日

キーワードクラシック「かなしみ」その3

モーツァルト 弦楽五重奏曲第4番ト短調より第1楽章

 言葉の力は音楽の力をより一層強くする

 モーツァルト弦楽五重奏曲第4番ト短調小林秀雄が評論『モオツァルト』で「悲しみは疾走する」と評したまさにその作品です。この言葉は、「モーツァルトの短調作品には特別な深い悲しみがある」というイメージを日本の知識人の間に広めました。彼の言葉の影響力の功罪は別にしても、この作品が与える深い悲しみの印象は誰しも否定することはできないと思います。

 かなしみが広がる五重奏曲

 この曲の第1楽章はとても印象的です。特に冒頭から続く弦の小刻みな和音の動きと、ヴァイオリン、ヴィオラが波のように続けて同じ旋律を追いかける部分は、まさに「疾走する」という表現がぴったりです。この悲しみの波の広がりは弦楽四重奏曲にヴィオラが1本加わった弦楽五重奏ならではの効果です。

 同じ時期に作曲された弦楽五重奏曲第3番ハ長調はこの作品と対になる作品で、第4番と同じように冒頭から小刻みな和音が続きます。こちらは、とても軽快で、モーツァルトが自由自在に和音を操作して楽しんでいるといったような印象の天国的に明快な曲です。それだけに対になる第4番の悲しみが際立って目立つのかもしれません。


posted by やっちゃばの士 at 12:40| Comment(0) | TrackBack(0) | かなしみ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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