秋のよく晴れた青空の午前。丘の原っぱに寝そべって青空を見ていると、青空に吸い込まれるようです。透き通った陽の光は暑くなく、ひんやりした風が紅葉した葉っぱを揺らしながら、体の上を吹きぬけていきます。まどろみに負けて僕は静かに目を閉じました。
モーツァルトの幻想曲二短調の冒頭の下降する音階を聴いていると、青空に吸い込まれていくような気分になります。青空のむこうに別世界があって、魂だけがそちらに向かって抜け出していくといった感じでしょうか。
モーツァルトは幻想曲を2曲残しています。二短調とハ短調。二短調の方は、ハ短調に比べて規模が小さいです。前に書いたハ短調の幻想曲についての記事でも述べましたが、モーツァルトの幻想曲の旋律はこの世のものとは思えない不気味さを持っています。この二短調の異次元の世界に落ちていくような不思議な音楽は、まさしくモーツァルトの音楽です。

ラベル:モーツァルト