2011年09月21日

イメージクラシック「嵐」その4

ブラームス ピアノ協奏曲第1番ニ短調より第1楽章

 すさまじい勢いの台風一過でした。木々は根元からなぎ倒され、立っていることも困難になるほででした。このような強い台風に遭遇するのは久々のことです。そんな嵐の日に、僕はこのような強い雨風に立ち向かう男の姿を思い浮かべ見たりもします。

 激しく吹き付ける雨風に真っ向から立ち向かう青年ブラームス

 ブラームスピアノ協奏曲第1番の第1楽章の壮大な序奏はまさに上記のような印象を抱かせる音楽です。怒りも悲しみも悔しさもすべて忘れて目の前に立ちはだかる嵐のような現実と対峙する作曲者の強い意志を僕は感じます。ブラームスは内向的で、ベートーヴェンと同じく小柄でしたが、20歳前半の内向的な小柄な青年の内面には、ものすごいエネルギーの爆発が起きていたのです。

 この曲の作曲中に、恩師シューマンがライン川へ投身自殺を図るという悲劇を経験します。その日は嵐でしたが、シューマンは救助されて一命を取り留めます。この事件がこの曲に大きな影響を与えていることは間違いない事実だと思います。激しい嵐のようなオーケストラの爆発の後、音楽は静まり、第1主題が弦楽器で奏されるのですが、伴奏部分は何か深く沈んでいくように下降していきます。僕はこの部分を、まるで水中深く沈んでいくシューマンと、悩みの底に沈んでいくクララ、ブラームスの意識を表しているように思えてなりません。

 この曲の第1楽章はおそらくブラームスの書いた作品の第1楽章の中で最も長大な規模を持っており、他の作曲家の書いた古今のピアノ協奏曲の名曲の中でも最も長大な規模を持っています。さらに、序奏の主題は展開部、再現部でも堂堂と姿を現すというちょっと類を見ないユニークな構造を持っています。後期のすっきりした展開を好むブラームスの作風から見れば、特異な感じを受けますが、若者が全身全霊を込めて挑んだこの力作が、彼の協奏曲の中では一番好きです。

ラベル:ブラームス
posted by やっちゃばの士 at 23:40| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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