2011年09月27日

イメージクラシック「夜」その6

モーツァルト 交響曲第38番ニ長調『プラハ』より第1楽章

秋の夜静かな林のその奥に灯りの燈るモーツァルト庵

 日が暮れるのが早くなりました。気がつくとあっという間に辺りが暗くなっていたということが最近よくあります。西空の彼方だけが薄っすらとした水色で、後は藍色の闇にひっそりと包まれています。庭灯は、秋風に吹かれて揺れるろうそくの炎のように、消えかかりそうな橙色の光を涼しげに発しています。それは、まるでおとぎ話の影絵のような夢幻的な風景です。

 秋の夜の夢幻的な抒情を感じさせてくれるのが、モーツァルト交響曲第38番『プラハ』の第1楽章です。この交響曲の第1楽章の大きな特徴は、秋の夜のように長くて夢幻的な序奏と、繊細で抒情的な主題と主題の展開にあります。影絵のように陰陽が交差し、響きは秋の虫の声のように繊細です。僕はモーツァルトの交響曲の中で、

もっともモーツァルトらしい作品

だと思っています。この曲が作曲されたのは、歌劇『フィガロの結婚』を書き上げた後で、オペラの持つ抒情的な世界がこの交響曲に持ち込まれているからかもしれません。

 僕はいつもこの作品を聴くと、夜のプラハの劇場の階段を軽やかに駆け下りて来るモーツァルトの姿を想像します。もしかしたら、秋の夜の影絵の中に、灯りの燈る作曲小屋があって、モーツァルトが忙しく動き回っている姿が見えるかもしれません。



posted by やっちゃばの士 at 23:41| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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