2011年09月07日

イメージクラシック「雲」その1

ブルックナー 交響曲第6番イ長調より第1楽章

ひっそりと虫が鳴く草むらの向こうにはもくもくと膨れ上がる秋の入道雲

 秋の入りの空に広がる入道雲はとても勢いがあります。空で何が起こっているのだろうかと思わずにはいられなくさせるほど巨大です。足元の草むらからは、そんな巨大な雲の存在など全く関係ないというように、ひっそりと秋の虫の鳴き声が聞こえていきます。

 ブルックナー交響曲第6番の第1楽章の冒頭のトレモロ。僕はこのトレモロを秋のひっそりとした草むらの中で鳴く虫の声のように思います。トレモロに乗って、第1主題が低く呟き、秋の野の静けさが漂います。静けさもつかの間、突然全楽器が最強奏で第1主題を奏します。この部分は秋の入道雲のように壮大です。第3主題も壮大で、この交響曲は、小粒ではあるけれども、巨大なものへ進化、あるいはより高い次元へと上昇しようとする力を持っているような気がします。

 ベートーヴェン第9に匹敵する規模と構成を持つ第5交響曲の完成を終えて、おそらくブルックナーは肩の荷が下りたのではないでしょうか。この第6交響曲には気負いのようなものがなく、自然な感じがします。ブルックナーの大作のほとんどが改訂版が存在するのに、この交響曲には改訂版がないことも、自然体に作曲できたことの表れだと思います。

 この交響曲は、第1、第2交響曲と並んで規模の小さい交響曲というくくられ方をすることがありますが、内容は全く違っていて、中期と後期をつなぐ全く独立した位置にカテゴライズされるべき作品です。ブルックナーの楽想が地上から天上に上昇していくまさにその過程的な位置にこの交響曲の存在価値があります。



ラベル:ブルックナー
posted by やっちゃばの士 at 18:15| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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