2011年09月01日

イメージクラシック「静寂」その1

ブラームス 交響曲第4番ホ短調より第1楽章

 静けさや岩にしみ入る蝉のこえ

 晩夏の夕暮れ時、辺りは蝉の鳴き声一色で、その他の音は何も聞こえなかった。静寂の中で時間は止まり、その景色は色彩を失いどこまでも渋いセピア色の世界が広がっていくのだった。この世界に対しての僕の感情は、悲しいというよりも、ほろ苦いという気持ちだった。

 ブラームス交響曲第4番はセピア色一色と言ってもいいような渋さを持った曲です。特に第1楽章は、音のない静寂の中で動くセピア色の動画のようなもどかしさを持っています。

悲しみよりもせつなさ
甘さよりもほろ苦さ
泣いているようで笑っている
演歌のようで歌ではない
盛り上がりそうで盛り上がら
ない

聴く人の期待に背く本当にもどかしい不思議な曲です。冒頭に芭蕉の有名な句を上げましたが、この句もこの曲と似たような世界を持っています。ただ俳句という5−7−5のたった17音の文字の世界なので、それほど違和感がありませんが、フルオーケストラで十数分もこれをやられるとさすがに心が参るのではないでしょうか。

 ブラームスの交響曲の最高傑作と評価されますが、非常に聴く方はエネルギーを使います。それでも、この作品は従来の西洋の音楽にはなかった日本文化の持つ「わびさび」のようなものを表現する道を切り開いたという意味でその価値は高いのだと思います。ブラームスはのちに、ピアノ独奏曲でこの世界を表現しますが、フルオーケストラだとちょっと無理があったのかもしれません。24色の絵の具で、水墨画を描いたようなものだと僕は思っています。


 それでもこの曲が好きか嫌いかと問われれば好きです。

ラベル:ブラームス
posted by やっちゃばの士 at 23:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 静寂 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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