2011年08月20日

イメージクラシック「嵐」その3

リスト 巡礼の年第2年「イタリア」より『ダンテを読んで』

 何週間か続いた真夏日は、荒れ狂ったような嵐によって破られました。それにしてもすさまじい嵐でした。激しい風は大粒の雨を横からなぎ倒し、霧のように砕かれた雨粒が室内まで吹き込んできました。じわじわと皮膚から噴き出ていた汗はいつの間にか乾き、どんよりと停滞した息苦しい熱気に包まれた朝の空気が嘘のように思われました。
 
 嵐が始まる直前の空は恐ろしいほど暗く、この世のものとは思えない不気味さに満たされていました。余りにも不気味なので、僕は早く雨が落ちてきてほしいと心の中で願いました。降り出しの雨の音を聴いて、僕は「始まった」と思いました。リスト『ダンテを読んで』の冒頭の不気味に下降する和音のように感じました。

 『ダンテを読んで』と同じように、この冒頭の降り出しの和音に続いて、激しく荒れ狂うおどろおどろしい嵐が始まりました。リストは恐ろしい地獄の情景を、荒れ狂う激しい音楽で表現しましたが、まさにこの嵐にぴったりの音楽だと思いました。嵐は数週間続いた熱気を完全に追い払うがごとく、数時間も続いたのでした。

 『ダンテを読んで』の地獄の描写の音楽は、イメージクラシック「嵐」で紹介した、巡礼の年第1年「スイス」の第5曲「嵐」交響詩『前奏曲』の第2部「人生の嵐」以上に、嵐にふさわしい音楽だと思います。「嵐」ではリストの曲が3曲も続きましたが、リストは嵐の音楽が非常に得意なようです。
 
 曲は地獄の恐ろしい音楽の後、煉獄の音楽へと移り、曲の後半は非常に慈愛に満ちた音楽になります。外面的な技巧とともに内面的な深さを味わえるのがこの曲の優れたところであると思います。

ラベル:リスト
posted by やっちゃばの士 at 23:44| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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