2011年07月27日

キーワードクラシック「かなしみ」その1

モーツァルト ピアノソナタ第8番イ短調より第1楽章アレグロ・マエストーソ

たんたんと疾走するかなしみ

疾走するかなしみ」という言葉は、モーツァルトの短調の曲の特徴を表す言葉としてあまりにも有名です。モーツァルトの曲は長調の明るいものが多いだけに、ギャップのある短調の曲に何か特別なものを感じてしまうのは致し方のないことでしょうか。実際には、モーツァルトの短調の作品はさまざまな異なる特徴を持っています。

 さて、そのようなモーツァルトの短調作品の中にあって、「疾走するかなしみ」のイメージがぴったりと当てはまると思われるのが、ピアノソナタ第8番イ短調の第1楽章です。疾走とは全力で走ることを意味しますが、僕はさらに「たんたんと」という副詞をつけたいと思います。

 曲はとてもテンポの速い第1主題で始まり、16分音符の副旋律がこれに絡みます。この16分音符の副旋律は曲の最初から最後まで休むことなく続くので、第1楽章を最後まで聞くと、曲の最初から最後まで

全力で駆け抜けた

ような感覚を抱きます。深刻に落ち込むような箇所はなく、かなしみを抱えながらも、立ち止まるわけにはいかず、ただひたすら前に向かって走るといった感じです。16分音符のせわしない動きは

一生懸命飛ぼうとする雛鳥の羽ばたき

のようです。何か必死にこらえているものがあるように思えてなりません。


 この曲が作曲されたのは1778年、モーツアルト22歳の時。就職活動のため母とともにパリへ向かいますが、職は見つからず、母も亡くしてしまいます。この不幸な体験がこの曲には反映されていると言われています。一方、このころからモーツァルトの音楽は飛躍的に進化し、内容の充実した作品が登場するようになります。

posted by やっちゃばの士 at 23:19| Comment(0) | TrackBack(0) | かなしみ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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