2011年07月26日

イメージクラシック「夜」その5

チャイコフスキー ピアノ協奏曲第2番ト長調より第2楽章アンダンテ・ノン・トロッポ

夏のノクターン(夜想曲)

 チャイコフスキーピアノ協奏曲第2番の第2楽章を一言で言うとこのように呼ぶことができるのではないでしょうか。真夜中のさわやかな風を思わせるヴァイオリンとチェロのソロによる掛け合いで始まる抒情的な音楽は究極の癒しの音楽です。

傷は夜に治る

といいますが、まさに過去の苦しかったり悲しかった思い出が美しい音楽によって癒されていくようです。

 1877年チャイコフスキーはアントニナ・イワノヴナとの結婚に大失敗し、自殺未遂まで起こしました。この年宿命交響曲とも言うべき大作交響曲第4番が作曲されています。この事件の後チャイコフスキーはヨーロッパ各地を転々とし、大作の作曲からも遠ざかります。ピアノ協奏曲はこの事件の年から間もない1879年から1880年にかけて作曲されました。ちょうどこのころ彼はイタリアへ旅行しています。そのせいか、この曲にはチャイコフスキーらしからぬ南国的な明るさと歴史的な建造物を思わせる堂々さが満ち溢れています。

 チャイコフスキーはイタリアではいろいろな不安から解放されて、リラックスできたことでしょう。そして、多いに創造力が刺激されたに違いありません。斬新性、革新性こそないものの、楽想はきわめて豊かなのがこの時期の作品の特徴です。イタリアの美しい月夜の中でこの楽章の楽想を着想したのかもしれません。交響曲第4番と同じころに作曲された『白鳥の湖』の情景の音楽とそっくりなところもありますが、今度は自らを舞台の白鳥に置き換えてみたのかもしれません。


posted by やっちゃばの士 at 23:54| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。