2011年05月22日

イメージクラシック「嵐」その1

リスト 巡礼の年第1年「スイス」より第5曲『嵐』

 岡山大学の学生のころ、僕は旭川の土手を三野の浄水場から後楽園に向かって自転車で下るのが大好きでした。夕べのオレンジ色に辺りが染まる時や、暮れた旭川の川面に色彩豊かに街の灯りが揺れる夕暮れ時、満天の星の下かすかな音を立てて流れる深夜時、様々な風景が懐かしく思い出されます。そんな思い出に残る風景の中で、最も印象に残っているのが嵐前の風景です。

 繊維工場の煙突から、煙が垂直に流れ出て川の方に向ってきました。独特の工場の匂いの中、突風に自転車はなかなか前に進まず、黒雲からは今にも雨が降ってきそうな気配です。緊張感の中、ただペダルを思いっきりこぐしかありませんでした。
 
 その時僕は大学生なりの悩みを抱えていたと思います。なぜか悩みと葛藤する自分と嵐の突風に向かって走る自分が重なり合って、物語のようにその情景がいとおしく思えるのですから不思議です。

 リスト巡礼の年第1年「スイス」の中にある『』の激しい音楽は、容赦なく吹きつける風のような音楽です。僕はこの嵐の音楽の中に、単なる風景描写を超えた内面の世界があるように感じます。晩年のリストが作曲した「巡礼の年」は外面的な効果以上に内面性が随所に感じられ、若いころの外面的な作品とは一線を画します。

ラベル:リスト 岡山
posted by やっちゃばの士 at 14:54| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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