2011年02月13日

イメージクラシック「雪」その2

ブラームス クラリネット五重奏曲ロ短調

久々に雪が降りました。普段雪を見ない僕は雪に対して特別な思いを抱いてしまいます。地面に落ちては消えていく淡い雪に対して「名残惜しい」気持を抱くのです。冷たくて不便さをもたらす雪に理性では心配し、心では歓迎するのです。

 雪の持つ「名残惜しさ」とは不思議なもので、僕は雪を見ると、幼いころに体験した雪景色を決まって思い出します。雪と共に過去の思い出が胸の中に巡り、雪が消えると過去の思い出も余韻を残しながら消えていくのです。

 過去の甘い思い出に浸る老いた作曲家の心を、僕はブラームスのクラリネット五重奏曲の中に見ます。

クラリネットの甘い音色は思い出を
弦楽器の厳しい響きは老いの現実を


見事に表現しているように思えます。ブラームスの晩年の室内楽は晩秋を思い出させる枯れた寂しい情緒を持った作品が多いのですが、この曲は寂しさ以上に甘美さが強く感じられます。僕は雪が一面につもっている風景を見ると、クラリネット五重奏曲の第2楽章のアダージョを思い浮かべます。

第1楽章 寂しい弦楽器の主題に遅れて浮かび上がってくるように登場するクラリネットの響きがこの上なく甘美です。温和な第2主題は真冬の寒さを温める暖炉の火のような温もりがあります。

第2楽章 弱音器をつけた弦楽器の響きが、夕暮れの銀世界の静けさを連想させます。過去の思い出へ心を誘うとてもうつくしい音楽です。

第3楽章 この曲で唯一明るく軽快な楽章。それでも寂しさがひしひしと伝わってきます。

第4楽章 変奏曲。終楽章を変奏曲にすると、回想的な雰囲気が高まります。似たような効果を持つ作品として、モーツァルト弦楽四重奏曲第15番やブラームスの交響曲第4番があります。僕がこの曲を「過去の甘美な思い出を回想する曲」と感じるのも実はこの終楽章によるところが大きいのかもしれません。

ラベル:ブラームス
posted by やっちゃばの士 at 09:02| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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