2011年01月14日

イメージクラシック「朝」その5

チャイコフスキー 弦楽セレナードハ長調より第1楽章

 寒い冬の日の朝。霜の降りた庭に朝日が差し込んでくる。きりりと引き締まるような冷たい空気をただ素通りしていく太陽の光だが、手のひらを当ててみるとかすかに温かい。

 チャイコフスキー弦楽セレナーデの第1楽章の重厚な序奏が、寒い朝にはよく似合います。このいかにもチャイコフスキーらしいメランコリーな序奏はとても印象的な音楽で、何年か前に人材派遣会社のCMで何度も放送され有名になりました。このCMでは、会社を首になるというシチュエーションを効果的に表すために、この音楽を使っていたのでした。

 確かにこの音楽は、「悲しい」「つらい」「きびしい」といったような印象を与える感じがあります。僕が厳しい冬の朝からこの音楽をイメージする理由の一つもここにあると思います。しかし、僕は「きびしさ」や「つらさ」と同時にこの音楽に「さわやかさ」も同時に感じます。この序奏の後、ハ長調の第1主題、弾けるような第2主題と力強くリズミカルな音楽が続いていきます。時折り顔をのぞかせるランコリーな音楽も、さわやかさの中にいつの間にか溶け込んでいくようです。「きびしさ」と「さわやかさ」はまさしく冬の朝のイメージとぴったり重なります。

 この曲はチャイコフスキーとしては珍しく、4楽章のすべてが長調で書かれています。作曲された時期もイタリア奇想曲ピアノ協奏曲第2番など明るい音楽の作曲の時期と重なっていて、作曲家としての充実感や幸福感のようなものが伝わってきます。チャイコフスキー本来のメランコリーと作曲家としての幸福感が見事に結びついた音楽がそこにはあります。

posted by やっちゃばの士 at 08:09| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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