2011年01月03日

イメージクラシック「朝」その4

スメタナ 連作交響詩『わが祖国』より第1曲「ヴィシェフラド」

 新しい年を迎えました。新年の朝は穏やかですが寒さがしんしんと伝わってくる朝でした。いつもと変わらない朝の風景なのに、新年と思うと何か格別な思いをもって風景を眺めてみるものです。万感思いをもってその瞬間を多くの人が過ごすのではないでしょうか。

 新年の朝にもっともふさわしい曲として、僕はスメタナの「ヴィシェフラド」を挙げたいと思います。この曲はスメタナの大傑作である連作交響詩『わが祖国』の中にある第1曲です。「ヴィシェフラド」とはチェコ語で高い城という意味です。『わが祖国』はスメタナの祖国チェコの伝説や風景に関連した標題を持つ6つの交響詩からなり、第2曲「モルダウ」は取り分けて有名です。他の5曲は「モルダウ」ほど有名ではありませんが、どの曲も「モルダウ」に匹敵する聴きごたえを持った傑作です。第1曲「ヴィシェフラド」の主題は、第2曲「モルダウ」や第6曲「ブラニーク」でも登場し、この連作交響詩の象徴ともいえる音楽です。

 「ヴィシェフラド」の主題は穏やかなハープの響きを持ってはじまります。スメタナによると、このハープの響きは、吟遊詩人の竪琴の響きを表しているとのことです。僕はこの穏やかなハープの響きを正月の朝に聴くと、宮城道雄の『春の海』のあの有名な琴の旋律を聴いているような気分になります。穏やかな音楽の背後に、万感の思いを持って祖国を歌いあげる作曲者の熱い心があるからこそ、この曲が心に響くのだと思います。

 また、この曲は連作交響詩の第1曲目ということで、これから繰り広げられる音楽の世界への期待感の余韻が漂っています。この曲の持つ「始まりの期待感」が1年や1日の始まりにふさわしい音楽としての印象を強めていることは間違いないでしょう。

posted by やっちゃばの士 at 23:29| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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