2010年12月15日

イメージクラシック「夜」その3

ストラヴィンスキー バレエ『火の鳥』

 日暮れとともに、クリスマスのイルミネーションが至る所に見られるようになりました。都心の商業地、ホテルはもちろん、閑静な住宅街のイルミネーションは非常に存在感があります。暗闇に赤、黄、青、緑と色とりどりに光る電球は、僕たちの意識を半ば非日常的な感覚にさせてくれます。暗闇の日常と明りの非日常の間の緊張感に心がときめくのです。

 ストラヴィンスキーのバレエ『火の鳥』は、不気味な暗闇と暗闇の中にイルミネーションがまばゆく光る情景を喚起する作品です。この曲は地響きのような不気味な低弦が表わす火の鳥の主題によって始まります。「火の鳥」という言葉からは、何かダイナミックで派手な音楽を想像してしまいますが、この曲はそういった期待とは反対に、闇の中で何かが息をひそめているような暗い音楽が続き、時折明るくリズミカルな旋律が、まるで暗闇の中にイルミネーションが浮かび上がるように、顔を出すといったような音楽です。堂々とした音楽が登場するのは後半の最後の方になってからです。したがって、動的に音楽を楽しむのではなく、静的に絵画を楽しむような感覚でこの作品を楽しむことになります。

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カンディンスキー『馬上の恋人たち』

 ストラヴィンスキーが、バレエの興行師ディアギレフから「火の鳥」の作曲を依頼された時は、まだ無名の若手作曲家でした。ディアギレフはストラヴィンスキーの『花火』というオーケストラのための小品を聴いて、彼に「火の鳥」の作曲家として白羽の矢を立てたのでした。この『花火』は管楽器がアラベスクのように色彩感豊かな音の綾をなす作品で、『火の鳥』に雰囲気が似ています。

posted by やっちゃばの士 at 00:09| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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