2010年12月06日

イメージクラシック「夕日」その2

チャイコフスキー 交響曲第6番ロ短調『悲愴』

浅黄色の西ぞら
鋭く光る三日月
影絵のような山々

 冬の夕日とともに浮かんでくるイメージです。東、南そして北の空が冷たい夜空に覆われていく中、なぜか西の空に温かさを感じる一時です。冬の西ぞらの向うに温かい世界があるかもしれないなどという不思議な期待感を抱かせる力が冬の夕日にはあると僕は思います。

 そういった冬の夕日にぴったりくる音楽が、チャイコフスキー悲愴交響曲の第1楽章の有名な第2主題です。この主題は、チャイコフスキーの数多くある美しいメロディの中で、おそらく最も美しいものではないでしょうか。中学生の時代に悲愴交響曲を初めて聴いたとき、この美しいメロディに感動して何度も何度もこの部分を繰り返して聴いたものです。

 チャイコフスキーはのの悲愴交響曲の初演の9日後に亡くなります。彼が自らの死を意識しながらこの音楽を作ったことは間違いないなく、単純ながら心に沁みこんでくるこの主題はただ美しいというだけではなく、何かが燃え尽きるような余韻を持っています。まるで真っ赤な夕日が沈んだ直後の地平線がどこまでも果てしなく伸びていくように、この余韻は消えることなく広がっていきます。

 チャイコフスキーの作品に登場する美しいメロディは、どちらかというと過去を回想し、懐かしむような楽想を持ったものが多いのですが、この悲愴の第2主題は過去ではなく未来に向かっているような感じがします。そして、この主題はまた現代的で普遍的な響きを持っているのが特徴的です。まさに夕日の向こうにある未来を見つめた音楽です。この交響曲はチャイコフスキーの後期3大交響曲のひとつとしてカテゴライズされていますが、第5番とこの第6番『悲愴』の間には何か断絶した世界があるように思えてなりません。






 


posted by やっちゃばの士 at 00:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 夕日 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。