2010年11月04日

イメージクラシック「みずうみ」その1

ブルックナー 交響曲第8番ハ短調より第3楽章アダージョ

 秋の湖ほど神秘的なものはありません。湖畔は紅葉に彩られ、山々の錦秋を反映した湖面は吸い込まれるような鮮やかな表情をたたえています。特に朝の湖面は独特です。朝日を浴びて蒸発した湖水がひんやりとした湖面の空気に冷やされて白い湯気になっていく様子はとても神秘的です。

 ブルックナーの交響曲第8番の第3楽章アダージョを聴くとき、僕はいつも鮮やかな錦秋と青緑色に輝く湖面を思い浮かべます。ブルックナーの交響曲は第5番のところでも述べましたが、第7番以降田園情緒を離れて神秘性を持つようになります。特にアダージョ楽章はこの傾向が顕著で、聴く方もある程度心の構えを要求されます。この後期3大交響曲のアダージョの中にも段階があって、僕のイメージでは

第7番  晩夏のまばゆい夕べの光
第8番  晩秋の神秘をたたえた錦秋と湖
第9番  真冬の天上の彼岸

と進んでいきます。このように見ていくと、ブルックナーの交響曲は絵巻物のように連続性があることがわかります。天に向かって伸びる植物のように、ブルックナーの交響曲も天に向かって成長していったのでした。ちなみに、交響曲の献呈先も

第7番 バイエルン国王ルートヴィッヒ2世
第8番 オーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフ1世
第9番 神

というふうに次第に高い次元に上がっていきます。第9番は上記のイメージのように、色彩感がなく自然から離れたものになってしまっていますが、第8番のアダージョは色彩感が豊かで、まるで作曲者の想いが美しい錦秋の絵巻物のように変幻自在に広がっていくようです。


ラベル:ブルックナー
posted by やっちゃばの士 at 00:01| Comment(0) | TrackBack(0) | みずうみ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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