2010年11月02日

イメージクラシック「秋のソナタ」その1

ブラームス 弦楽四重奏曲第2番イ短調

奥山に紅葉踏み分け鳴く鹿の声聞くときぞ秋は悲しき(猿丸大夫 百人一首より)

 秋の山奥の落ち葉を踏むとどんな音が聞こえるでしょうか。きっと枯れた鳥の鳴き声や、遠くから風の音か自動車の音か判別がつかないようなごおっとした響きが聞こえてくるのでしょう。そんな現代の山里にあって、僕はこの古の歌を思い浮かべます。鹿の鳴き声がどのようなものか今はっきりとイメージできませんが、きっとブラームスの弦楽四重奏曲のヴァイオリンのように甲高く物悲しい響きなのだろうと。

 ブラームスの室内音楽は「秋のソナタ」という題名がぴったりきます。中学生の時に新潮文庫の『ブラームス』(三宅幸夫著)を読みましたが、プロローグのタイトルが「秋のソナタ」でした。僕はその時はまだ彼の交響曲や協奏曲などのオーケストラ作品しか知りませんでしたが、この言葉を交響曲からもはっきりとイメージすることができました。その後、室内楽曲やピアノ曲を知り、室内楽こそがまさに「秋のソナタ」の神髄であると感じるようになりました。

 秋のソナタの傑作群の中にあって、秋の野の物悲しい情緒を最も感じさせてくれるのが弦楽四重奏曲第2番です。ブラームスは3曲の弦楽四重奏曲を作曲しましたが、彼の弦楽四重奏曲は弦楽六重奏曲や弦楽五重奏曲、またとても有名なヴァイオリンソナタなどの陰に隠れて目立たない存在になってしまっています。「渋い、暑苦しい」という評価も目立ちますが、第1番はそうであるにしても、第2番は違うと思います。聴き込めば聴き込むほど迫ってくる鹿の鳴き声のような深い物悲しい情緒は他の作曲家の作品では決して味わうことができないものです。ロマン派随一の傑作弦楽四重奏曲と評してもいいのではないでしょうか。






ラベル:ブラームス
posted by やっちゃばの士 at 06:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 秋のソナタ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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