2010年09月30日

キーワードクラシック「決意」その1

シューベルト ピアノソナタ第14番イ短調

 思いがけない事実に遭遇した時、しばしば人は「言葉を失う状態」になります。そしてその事実が重大であるほど事実を受け入れるための沈黙の時間が長く続くものです。そして、事実を受け入れてこれから生きていく「決断」しなければなりません。僕はこの9月に2回もそのような経験をしました。

 シューベルトピアノソナタ第14番第1楽章冒頭のつぶやくような暗い第1主題を聴くと、シューベルトが何らかの重い事実に悲嘆にくれているように感じます。そして、このつぶやきの後、今度は最強奏で第1主題がもう一度姿を表します。この音楽は


決然たる響き


を持っており、シューベルトが何らかの決意をこの音楽に込めていることが伝わってきます。多作家のシューベルトですが、この曲を作曲する前の4年間彼は全くピアノソナタを作曲していません。理想のピアノソナタの形をもとめて試行錯誤していたようです。その答えがこの曲であることを考えるとこのソナタは何かとてつもなく重いものを持っていてしかるべきだと思います。

 希望が羽ばたきそうで羽ばたかず沈滞する第2楽章。嵐のようなロンドの第3楽章。僕はこの第3楽章なんか聴いているとショパン第2ソナタの終楽章を想像してしまいます。

決然と出発したが何かまだ未解決なものを抱えている」そんなこのソナタを僕は彼のピアノソナタの中で一番気に入っています。

ラベル:シューベルト
posted by やっちゃばの士 at 22:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 決意 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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