2010年06月29日

イメージクラシック「雨」D

ブラームス チェロソナタ第1番ホ短調

 灰色の空から降り続く雨。じとじとと汗ばんだ肌には、少しばかりひんやりした雨もあまり効き目がない。清涼な希望の光を求めて薄暗い部屋の中を模索するが、光の入り口は見えそうで見えない。

 ブラームスのチェロソナタ第1番第1楽章。低く沈んだチェロのつぶやきを聴くと、梅雨の空と湿っぽい部屋をイメージしてしまいます。とてもふさいだ気分にさせてくれる曲の出だしですが、チェロの第1主題の後をカノンで追いかけるピアノが渋さ一辺倒の曲に甘美さを添えます。



チェロはじめじめした空気
ピアノははじけこぼれる雨水


のようです。陰鬱ですが、透き通った甘美な抒情があふれるこの不思議な音楽はおそらく青年期のブラームスでなければ表現できない極上の音楽です。一人感傷にふける青年の姿と心の物語を僕はこの曲に見ます。

 第2楽章は古風なメヌエット。バロック音楽なのかロマン派音楽なのか区別のつかない不思議な音楽。部屋の中でうたた寝する青年のかなわない夢。自信のないブラームスが不器用なダンスを踊っているかのような印象を与えます。

 第3楽章はフーガ風の情熱的な激しい音楽。第1楽章、第2楽章と停滞気味だった音楽が、この楽章になって初めて走り出します。再び激しく降り始めた雨の中を、じめじめした暗い部屋から出て走り抜けていくような音楽です。

 全楽章とも短調で、全体的に気分がふさぐような暗いイメージですが、時折り長調に転調する場面があります。その部分は、曇り空に一瞬光が差し込むようでとても印象深いものがあります。

posted by やっちゃばの士 at 18:36| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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