2010年06月25日

キーワードクラシック「癒し」@

スクリャービン 交響曲第2番ハ短調より第3楽章

 「癒しの音楽」という言葉からどんな音楽を連想するでしょうか。田園的情緒があふれるベートーヴェンの『田園交響曲』や祈りに満ちたシューベルトの『アヴェ・マリヤ』など、自然や祈りなどの要素を含んだ音楽を連想するのではないでしょうか。

チャイコフスキーの次の世代でロシアの作曲家スクリャービンは、自然や祈りの持つ癒しとは全く別次元の癒しを作りだしました。彼の癒しは、現代風にいえば、エステサロンやリラクゼーションルーム、アロマテロピーで与えられる人工的な癒しによく似ています。

小鳥のさえずり
湧き出る泉
砂浜に打ち寄せる穏やかな波の音
貝殻から聞こえる思い出
色とりどりの花とフルーツの甘い香り
癒されていく傷ついた心と体


官能的な音楽ですが、感傷的な要素は少なく、いつまでも浸っていたい心地よさがあります。交響曲第2番の第3楽章はまさに楽園の癒しの音楽です。楽園の癒しはこの交響曲が持つストーリー性によってこの上なく高まります。それは癒しと対極にある痛み、闘争の存在です。

 楽園に至るまでの道には闘争があります。スクリャービンの交響曲で展開される闘争は、ベートーヴェンのような劇的なものではなく、もっとナイーブで繊細なものです。心の葛藤という意味での戦いではなく、傷の痛みが癒されていく類の意味での闘争です。

 スクリャービンの交響曲は、そのオーケストラの響きがワーグナーの亜流として、あまり評価されていない向きがありますが、僕はもっと評価されるべきだと思います。彼の作品には


極上の癒し


があります。

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ルドン 仏陀


posted by やっちゃばの士 at 23:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 癒し | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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