2010年05月31日

イメージクラシック「五月」B

シューマン 幻想曲ハ長調

 五月最後の一日。快晴の青空のもと、公園では子供連れの家族が木陰に座って楽しそうにしている。明るい光の中を強めのそよ風が駆け抜けていく。この一時の幸福な時間がずっと続くことを願いながら、青空に顔を向けて寝っ転がり目を閉じた。

 上記のような思いになったことがある人は多いのではないでしょうか。こんなシチュエーションにあるとき、僕はシューマンの幻想曲を目を閉じて心の中で聴きます。

 シューマンの幻想曲は、作曲者がまだクララと婚約中だった時に作曲されました。この作品はシューマンのピアノ独奏曲の中で最も幸福感に満ちた作品です。クララの存在はシューマンの創造の泉そのものだったのでしょう。この時期には、『子どもの情景』や『クライスレリアーナ』などシューマンらしいファンタジーに満ちた傑作が立て続けに作曲されています。シューマン自身この作品を最高傑作と評したようですが、僕もシューマンのピアノ曲の中で最も優れた作品は、この曲と交響的練習曲だと思います。

 曲は幻想曲としては、他のどの作曲家のものよりも規模が大きく、3楽章からなります。

第1楽章 冒頭の夢見るようでいて情熱的な主題は一度耳にしたら忘れられない名旋律です。

第2楽章 『謝肉祭』の終曲のように勝ち誇った曲。行進曲風の曲想はシューマンがよく使う手です。

第3楽章 始まりよりも曲の終わりが最も印象深い。永遠に憧れの対象を夢見続けているような余情が残ります。

 ところで、この曲は『大ソナタ』として出版される予定であったためか、モーツァルトやショパンの幻想曲とはずいぶん趣が異なります。彼らの幻想曲はどちらかというと暗い陰的なイメージがありますが、シューマンのものは明るい野原に飛ぶ蝶のようなイメージです。



posted by やっちゃばの士 at 16:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 五月 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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