2010年05月23日

イメージクラシック「五月」A

ブルックナー 交響曲第2番ハ短調

暗い教会から明るい自然へ。ブルックナーの交響曲第2番は、第4番、第5番と並んで、自然の情景が目に浮かぶ田園交響曲です。

 ブルックナーの交響曲は、どの曲も聴いただけで「あっブルックナーだ」と素人でもわかるぐらい似たような特徴を持っています。しかし、よく聴いていくと作曲者の視点が番号とともに変化していくことに気づくはずです。

 ブルックナーの交響曲の原点はミサ曲にあります。ブルックナーはミサ曲を3曲作曲し大成功をおさめます。彼は次に交響曲の作曲に取りかかり第1番を書きあげます。この第1番には後のブルックナーの交響曲に見られるような息の長い音楽を見出すことができません。ミサ曲で聴かせた美しい音楽も生かされていません。ブルックナーは「ばか者のように第1番を作曲した」と述べていますが、この言葉の裏には満足できない思いがあるように思います。

 続いてニ短調の交響曲(第0番)を作曲します。このニ短調交響曲は第1交響曲よりもブルックナーの個性がよく表れており、美しいミサ曲の旋律も登場するなどブルックナー的です。ただ、メリハリが乏しく盛り上がりに欠けるためなのか、この交響曲は「けちょんけちょん」にけなされて、ブルックナーは本来このニ短調交響曲を第2交響曲として発表するはずでしたが、「全くくだらない作品」として自らお蔵入りにしてしまいます。その後新たに作曲されたのがこの交響曲第2番ハ短調です。

 この第2交響曲は、それまで教会のステンドグラスの中で作曲していた作曲家が、田園に出かけて初めて作曲したかのように

さわやかな響き

を持っているのが特徴です。曲は短調で始まりますが、明るい響きを持っており、第1楽章の冒頭の弦楽器のトレモロは

5月の風に揺れる若葉の動き

のような新鮮さを持っています。またこの曲はブルックナーの交響曲の中で最も歌謡的な要素の強い曲でもあり、歌心に満ちた名指揮者カルロ・マリア・ジュリーニが後期3大交響曲とこの曲のみ録音を残していることは象徴的です。

 おそらくこの曲において、ブルックナーは初めて納得できる手ごたえのようなものをつかんだのではないでしょうか。自然界がすくすくと成長していく姿を目の当たりにする五月に、ぜひこの曲を聴いてみるのがいいのではないかと思います。

posted by やっちゃばの士 at 09:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 五月 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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