「夜明け」を具体的に描写した音楽を今まで紹介してきましたが、今回は、作曲家が「夜明け」を描いたわけではないが、その音楽を聴くと「夜明け」のイメージが浮かび上がる曲について。
この曲の第1部は、低く呻くような金管楽器と木管楽器、弦楽器の印象的な響きで始まります。ちょっと、チャイコフスキーの『悲愴交響曲』の冒頭の雰囲気に似ています。ただ、『悲愴交響曲』のように絶望的な暗さはなく、どことなく明るく、地面の奥深くに満ちたエネルギーが地殻にメリメリとひびをいれていくような期待感を抱かせます。やがてエネルギーは最高潮に達し、ピアノが華麗に登場します。
まるで夜がだんだん明けていき、朝日が昇るような印象
です。この後、音楽は朝のさわやかな温かさに包まれて、気分は高まっていきます。
第2部のアクロバットのようなジャズ風の音楽
第3部の日没のような余韻が美しい音楽
と充実した展開で曲は終わります。
「高貴な抒情」と「ユーモア」
というラヴェルの持つ音楽の特徴が見事に発揮されたラヴェルの最高傑作だと僕は思います。
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