2010年02月14日

イメージクラシック「夜明け」C

シベリウス 交響詩『夜の騎行と日の出』

 フィンランドの大作曲家シベリウスは、ドビュッシーやラヴェルまたストラビンスキーとも違ったオーケストレーションの名人でした。ワーグナー直伝の大管弦楽と半音階技法を基本としながらも、


音楽の持つ内面性
氷の張りつめたような抒情

など他の作曲家では味わうことのできない個性がぎっしり詰まっています。彼は多くの交響曲と交響詩を残しました。音楽史上、この2つのジャンルの両方に多くのすぐれた作品を残した作曲家はシベリウスただ一人です。

この『夜の騎行と日の出』は具体的な風景を描いた作品ではありません。自然という手段を使って、内面の世界を描いた作品です。言葉を換えれば、

暗闇を彷徨う苦悩と夜明けになって苦悩の暗闇が終了する

という内面の世界を「夜」と「朝」という象徴的なキーワードを音楽で表現することによって描いています。

夜   ギャロップ風の旋律が執拗に繰り返される
夜明け 弦楽器による讃美歌風の旋律
日の出 温かいホルンの響きと木管楽器による小鳥のさえずり


管弦楽はシベリウスにしては質素で、彼が内面的な世界を訴えたかったということが分かります。迎える「朝」は決して生命力に満ち溢れたものではありません。「朝」を意味するものは「浄化」であり、


病が癒えたような印象


を与えます。そういう意味では、リヒャルト・シュトラウスの交響詩『死と変容』の世界に近いものがあります。ただ、シベリウスの場合は、死ではなく快方と希望に向かっており、僕はこのような特異な音楽を描いた作曲家自身の強い決意と意思を感じます。「夜明け」を「快方」という意味で比喩的に用いた最高傑作なのではないでしょうか。 

参考に
リヒャルト・シュトラウス交響詩『死と変容』
シベリウスの作品


posted by やっちゃばの士 at 09:41| Comment(0) | 夜明け | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。