2013年03月31日

イメージクラシック「鳥のさえずり」その3

モーツァルト 弦楽四重奏曲第15番ニ短調より第4楽章

春の野に響く悲しい鳥の鳴き声

 どんよりとした春特有の曇り空。薄暗い明け方に鳴くホトトギス。朝日が差すのをひたすら待つ続けているようだが、大地には桜の香りが広がるだけで光が差さない。何度も体験したこの風景に、回想的な気分になります。昔も今も同じ思い、ただ境遇は変化していく。

 果てしなく続く物悲しい思い。モーツァルト弦楽四重奏曲第15番(ハイドンセット第2番)の第4楽章は、そんな気持ちにさせてくれる曲です。モーツァルトは、そういった楽想を強めるために、変奏曲の形式でこの楽章を書きました。変奏曲では、ある主題(テーマ)が形を変えて繰り返し出て来るため、短調の主題の場合は、悲しみを切々と訴えるような独特の情感を生みます。

 特にヴァイオリンが執拗に奏でる三連符は鳥の物悲しい鳴き声のようで、強い印象を与えます。この曲も「モーツァルトの悲しみ7選」のひとつにしましたが、その中でも飛びぬけて深い悲しみを与える曲だと思います。

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2013年03月14日

イメージクラシック「嵐」その9

シューベルト アレグロイ短調『人生の嵐』

 強い南風が吹きつける一日でした。舞い上がる砂嵐の中を目を伏せながら歩いていると、「春の嵐」という言葉を思わずには居られませんでした。

 ドイツの作家ヘルマン・ヘッセの小説に『春の嵐』というのがあります。盲目の音楽家が主人公で、物語の持つ激しくも透明な抒情性に高校生のころ感動した覚えがあります。僕はヘッセの青年小説の持つ美しい叙情性はシューベルトの音楽の持つ美しい叙情性に似ているなと思うことが良くあります。

 ピアノの連弾曲『人生の嵐』はシューベルトが生涯最後の一年に作曲された曲です。『人生の嵐』とは、シューベルトが名づけたものではなく、この曲を聴いた人が、冒頭のたたきつけるような激しい主題からつけたニックネームです。したがって、この曲には人生の嵐などというストーリー性は全くないはずなのですが、シューベルトの最晩年の激しい曲ということもあって、何か意味づけをしたくなる不思議な力があるように思います。

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