2013年01月29日

キーワードクラシック「ドラッカー」その1

ハイドン 交響曲第88番ト長調『V字』より第1楽章

 オーケストラでは、一つの楽器が一つのパートだけを受け持った。指揮者が多様な楽器の音を一つの音楽に仕立てた。その結果、それまで超えようのない限界されていたものが突然なくなった。ハイドンの小さなオーケストラが、いかなるオルガンの巨匠をも超えるものを表現した。(ドラッカー『断絶の時代』より)

ドラッカーの著作を読んでいると、しばしばクラシック音楽家のことが取り上げられていることに気が付きます。ドラッカーはオーストリアに生まれ、自身ピアノのレッスンを子供のころから受けていたこともあり、クラシック音楽に関してはかなり造詣が深かったようです。そして、ドラッカーの著作の中で最も多く取り上げられている作曲家がオーストリアの作曲家ハイドンです。ハイドンは「交響曲の父」、「弦楽四重奏曲の父」とも呼ばれ、それまでのバロック音楽とは異なる古典派音楽を確立した作曲家として有名です。バロック音楽の作曲家としてはバッハが有名ですが、バッハの時代はオルガン音楽が流行り、バッハもオルガンの名手として活躍しました。この両者の音楽作りの違いをざっくり上げると、

オルガン音楽 1人が一つの楽器で何種類もの複数の旋律を演奏し、その名人芸を楽しむ
交響曲、弦楽四重奏曲 1人1人が一つの楽器で各々1種類の旋律を演奏し、多彩なハーモニーを生み出す

 ハイドンは、それまでの1人に超人的なテクニックを要求する音楽から、一人ひとりが平凡な音楽を受け持ちながら、集まって多彩なハーモニーを生み出す音楽を確立しました。このハイドンの音楽作りは、まさにドラッカーのマネジメントイノベーションなどの経営理論に通じるものがります。

マネジメント  平凡な1人1人を組織することによって大きな成果を出す
イノベーション ひらめきではなく科学的な方法によって生まれる

 ドラッカーの理論は凡人がどのようにして強みを発揮して成果を出すかというところに焦点があります。ハイドンの音楽作りは、まさにドラッカーの方法論と一致しました。また、ハイドンは実験的な試みをその作品の中で意識的に行っており、こういった姿勢はまさに経営プロセスの仮説と検証の繰り返しを見るかのようです。

 さて、ハイドンの数多くの優れた作品の中で、上記のようなハイドンの特徴が最もよく表れた傑作が、交響曲第88番『V字』の第1楽章です。単純平凡な主題が、これでもかというほどに姿を変えながら繰り返し登場してきます。この音楽的推進力は目を見張るものがあり、後にベートーヴェンがハイドンの音楽作りを受け継ぐことになります。

Haydn_portrait_by_Thomas_Hardy_(small).jpg
ハイドン

ラベル:ハイドン
posted by やっちゃばの士 at 11:01| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ドラッカー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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