2012年10月20日

キーワードクラシック「宮沢賢治」その3

ワーグナー 楽劇4部作『ニーンベルングの指輪』第1部『ラインの黄金』より「ラインの川底」

二匹の蟹の子供らが青じろい水の底で話していました。
『クラムボンはわらったよ。』
『クラムボンはかぷかぷわらったよ。』
『クラムボンは跳ねてわらったよ。』
『クラムボンはかぷかぷわらったよ。』
上の方や横の方は、青くくらく鋼のように見えます。そのなめらかな天井を、つぶつぶ暗い
泡が流れていきます。
(宮沢賢治『やまなし』より)

 ワーグナー楽劇『ラインの黄金』の冒頭のライン川底の音楽を聴くと、宮沢賢治童話『やまなし』の冒頭の光景をいつも連想します。ホルンの淡い響きは川底に差し込む日の光を、弦楽器のうねりは波の動きを連想させ、単純な旋律を繰り返しながら、クレッシェンドしていきます。だんだん川底深くに下りていくようで、川底に到達したところで反復は止まり、川底に済むラインの乙女たちの明るい歌声が登場します。

 宮沢賢治の童話とワーグナーというと、何とも釣り合わない感じがしますが、明るさと不気味さが共存する川底の光景に関しては何か共鳴する世界があるのではないかと僕は感じています。

ラベル:ワーグナー
posted by やっちゃばの士 at 23:10| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 宮沢賢治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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