2012年08月19日

イメージクラシック「故郷」その」3

ボロディン 歌劇『イゴーリ公』より「ダッタン人の踊り」

故郷への郷愁を誘う歌

 ボロディン歌劇『イゴーリ候』は、囚われの身となったキエフ公国のイゴーリ公が脱出を図ろうとする愛国劇です、この歌劇はボロディンの死によって、未完に終わりましたが、仲間のリムスキー=コルサコフらの手によって完成に至りました。歌劇自体は長大で頻繁に演奏されることはありませんが、第2幕の「ダッタン人の踊り」「ダッタン人の娘の踊り」「ダッタン人の行進」(これらはまとめて「ダッタン人の踊り」と呼びます)は有名で、オーケストラピースとしてたびたび演奏されます。

 力強いダッタン人の踊りととても抒情的な合唱のコントラストが印象的で、特にこの合唱は故郷への郷愁を誘わずにはいられない名旋律だと思います。オリエンタリズムと故郷への思いが詰まった音楽として、今後も愛されていくでしょう。



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2012年08月15日

イメージクラシック「鐘」その3

リスト 巡礼の年第1年『スイス』より第1曲「ウィリアム・テルの礼拝堂」

旅の始まりを告げる鐘

 リストはヴィルトーゾとしてヨーロッパの音楽界を席巻しましたが、20代後半になって華やかな社交界を離れ、彼自身の内面を求めてスイスに旅に出ます。このたびの間に彼がスイスで感じた世界を音にしたのが、巡礼の年第1年『スイス』に収められた9曲です。

 その中の第1曲「ウィリアム・テルの礼拝堂」は、旅の始まりを告げるにふさわしい雰囲気を持った曲で、礼拝堂の鐘を思わせる響きで曲は始まります。やがて、作曲者の胸にはスイスの独立解放軍の自由への思いが自らの自由への思いとオーバーラップして湧きおこってきます。抑えきれない激しい自由への思いは、礼拝堂の高い鐘の音となって強く響きます。

 リストのピアノ作品にはたびたび鐘を模した音が登場しますが、僕はこの曲が一番奥の深い鐘の響きを表現しているように思います。夏の避暑地への旅を思いながら、聴きたい1曲です。

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2012年08月12日

イメージクラシック「山」その6

リスト 交響詩『人が山上で聞いたこと』

山は人を哲学的にする

 人は山に登ると、哲学的になるようです。おそらく、山の自然と一対一で向き合うことにより、自分の心を見つめ直すようになるのではないかと思います。マーラーは毎年夏になると山にこもって作曲をしました。ニーチェのツラトゥストラは山で思索を行ない、修験者たちは山で修業をしてきました。

 リスト交響詩『人が山上で聞いたこと』は、山での思索的な内容を音にした作品です。詩人が山の中で2つの声を聞きます。一つは力強く秩序だった自然の声、もう一つは苦悩に満ちた人間の声で、この2つの声はぶつかり合い葛藤しながら、最後は中和して静けさの中に消えていきます。

 この曲はリストの最初の交響詩で、30分近くもかかる長大な曲です。テーマは上記のように哲学的ですが、山を表す壮大な主題苦悩に満ちた人間の主題、2つの主題がダイナミックにぶつかりながら展開していく流れ等は非常に分かりやすく、またオーケストレーションもとても見事です。あまり演奏されませんが、もっと取り上げられていい曲だと思います。

posted by やっちゃばの士 at 22:14| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年08月11日

キーワードクラシック「よろこび」その2

ベートーヴェン 交響曲第3番変ホ長調『英雄』より第1楽章

さわやかな風に
自然に笑みがこぼれる

 ベートーヴェンの音楽の本質は「喜び」であると、先にこのブログで書いたことがありますが、この交響曲第3番『英雄』の第1楽章のコーダ部分を聴くたびに、僕はそのことを改めて思います。

 この曲は、交響曲の歴史の新しいページを開いた曲として余りにも有名です。この第1楽章の規模は、それまでの交響曲と比べて格段に大きく、特にコーダ部分が巨大で、主題再現部をしのぐ大きさを持っています。規模の大きさや、英雄的な楽想が目立ちますが、僕はそれ以上に内面からにじみ出るようなさわやかな喜びの感情をこの曲から聴きとります。

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若きベートーヴェン



 
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2012年08月09日

イメージクラシック「夜」その8

レスピーギ 交響詩『ローマの祭』より「十月祭」

祭りの後の静かな広場に
白い月の光がしんしんと降り注ぐ

 毎夜のようにどこかで夏祭が行われるシーズンになりました。祭りの後に残された会場は静まり返っていて、切なさと希望とが混じり合った独特の余韻を残してくれるものです。

 レスピーギ交響詩『ローマの祭』の「十月祭」の後半部分、祭りが終わって夜が更けていき、切なく甘いヴァイオリンのソロと、遠くから聞えて来るマンドリンの響きが、闇の中でささやく恋人たちのロマンティックな想いを表します。夏祭が終わった後の雰囲気にぴったりな曲だと思います。「十月祭」とは収穫祭のことですが、音楽を聴く限り、標題の季節を感じさせません。

 レスピーギはリムスキー=コルサコフの弟子で、二人ともきらびやかなオーケストレーションが持ち味とあってか、夏になると聴きたくなる作曲家です。

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ゴッホ「星の多い夜」





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