2012年06月30日

イメージクラシック「疾走」その3

マーラー 交響曲第6番イ短調『悲劇的』より第4楽章

かなしみは疾走して、立ち止まり、また疾走する

 マーラー交響曲第6番の長大な第4楽章を聴くと、上記のような印象を抱きます。ギリシア悲劇のようなその整った音楽は聴く者に独特のカタルシスを与えます。悲劇的なストーリー性を持った音楽ですが、「わかりやすさ」と「甘美さ」が曲全体を大きく支配しています。

 僕はマーラーの交響曲の中では、最も「甘美」な曲ではないかと思っています。「苦悩」や「皮肉」といった要素がほとんど感じられないからです。マーラーは夏の山小屋で、アルマとの幸福な結婚生活中に、この曲を作曲しました。この曲には、カウベルやグロッケンシュピーゲルといった山の牧場を連想させる楽器が効果的に使われています。そういうこともあってか、僕には、上高地の美しい時間が少しずつ失われていくといった「時間の流れ」のようなものが、悲しみの疾走に思えて来るのです。


ラベル:マーラー
posted by やっちゃばの士 at 23:56| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 疾走 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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