2012年06月11日

イメージクラシック「嵐」その8

ベートーヴェン 交響曲第6番へ長調『田園』より第4楽章「雷雨、嵐」

関東地方も梅雨に入りました。午前中晴れていたのに、午後になっていつの間にか黒い雲に覆われて激しい雨に襲われるといったことがこれからますます増えて来るでしょう。

嵐の前の黒雲と突風
だんだん近づいてくる雷鳴
天地を切り裂く雷光

 まさしくベートーヴェン田園交響曲の嵐の光景です。ベートーヴェンの嵐の音楽はやはり夏の嵐です。この嵐はある種の明快さとさわやかさを持っています。ベートーヴェンの音楽そのものの持つ性質か、この嵐の第4楽章を挟む第3楽章「田舎の人たちの楽しい集まり」と第5楽章「牧人の歌-嵐の後の喜ばしく感謝に満ちた気分」とのストーリー性が関係しているのか、とにかくすべてを気持ちよく流してくれる嵐の音楽がそこにはあります。



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2012年06月07日

イメージクラシック「鐘」その2

フォーレ ピアノ四重奏曲第2番ト短調より第1楽章

激しく降り続く雨
けたたましく鳴り続ける鐘の音
次第に雨は上がり
川面に映った澄んだ青空
心にはまだ響く鐘の音

 フォーレの音楽は六月によく似合います。しっとりとしたその美しさは、雨に濡れた紫陽花の花のようです。そんなフォーレの曲を僕は「」の似合う曲として今まで何度も取り上げてきました。このピアノ四重奏曲第2番もそんな作品だと思いますが、この曲はそれ以上に「」の響きのようなものを随所に聴くことができる曲です。

 一般的に第3楽章の冒頭のピアノの音は「弔鐘」の音を模していることで知られていますが、僕はそれ以上に第1楽章の第1主題の弦の力強い主題の背後で、うねるように鳴りつづけるピアノの音が、まるで警鐘のような不気味さを持っていて、とても印象的です。この警鐘のエコーは第2楽章にも登場し、この曲はまさに「鐘の四重奏曲」とでも呼べるのではないかと僕は考えています。

EPSON015.JPG
クロード・モネ「睡蓮、水に映し出された風景、雲」

ラベル:フォーレ
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2012年06月06日

イメージクラシック「花」その4

マーラー 交響曲第3番ニ短調より第2楽章「野の花が私に語ること」

 ポピーが美しい季節になりました。先日、妻と子供たちは葛西臨海公園に行って、たくさんのポピーを摘んで帰りました。僕は仕事で一緒に行くことができませんでしたが、一面に咲いたポピーの花が初夏のさわやかな風に吹かれて揺れている光景が目に見えるようです。

 風に無邪気に揺れる花々の光景は、マーラー第3交響曲の第2楽章について述べた次の言葉を思い出させます。

「それがどんなふうに響くか、きみには見当もつかないだろう!それは、僕が今までに書いたなかで一番無邪気な曲だ。花々だけがそうであるような無邪気さだ。すべては天空をかろやかに敏活に漂い、揺れ動く。そのさまは、花が風の中で、茎をしならせているかようだ。」(『グスタフ・マーラーの思い出』より)

 マーラーの交響曲第3番は、マーラーの交響曲の中で最も幸福感に満ちた作品で、また最も長大な規模を持った作品でもあります。マーラーは自然を愛し、夏になると自然に囲まれた山小屋で作曲没頭するのでした。マーラーはこの作品で、聖書の創世記のように、自然と人間からなる自らの世界観を音楽にしたのでした。第2楽章は「野の花が私に語るもの」という標題が付いており、メヌエット風の無邪気さを持った音楽です。

EPSON014.JPG
クロード・モネ「シヴェルニー付近のひなげしの野」










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2012年06月05日

イメージクラシック「田園」その4

ヴォーン・ウィリアムズ 交響曲第5番ニ長調より第1楽章

干拓地の夕べ
薄っすらとした白い空気が
大地を物憂げに覆う
常山の緑は濃い影を落とし
耳を澄ませば
農薬散布機の音がどこからともなく聞こえてくる

 5月から6月にかけての児島湖畔の干拓地の風景を眺めるのが、僕は好きでした。特に晴れた日の夕べは、オレンジ色の光が森の緑や湖面を美しく照らすのでした。「いつかきっと」という思いを抱きながら、静かに暮れていく時間をしばし過ごすのでした。20歳の半ば、もう15年くらい前のことです。

 僕は、この時期になるとヴォーン・ウィリアムズ交響曲第5番を毎年のように聴いています。この交響曲はどの楽章も田園情緒に満ちていて、大変素晴らしいのですが、静けさと思い出に詰まった田園情緒を感じさせてくれるのが、第1楽章と第3楽章です。この2つの楽章はつながっていて、ちょっと例えが変かもしれませんが、ベートーヴェン『田園』の第1楽章と第2楽章のような関係です。田園に到着してから、だんだん田園時間に溶け込んでいくような感じです。

 とくに第1楽章は、木管楽器の音色が独特で、ちょっと虚ろで非現実的な響きを持っています。冒頭のオーボエの響きを聴くと、僕は小さいころから田舎で夕方になると、聞こえてきた農薬散布の機械の音を思い出します。




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