ものすごい突風が吹き荒れる一日でした。風は生温く南風なので、もう厳しい冬は去り、春が来たんだという安心感と期待感をもって、少し突風を楽しむ余裕も出てくるのだから不思議です。
こういう日には激しいロマン派のピアノ曲を聴きたくなります。ショパンは感情をぶつけるような激しい曲を何曲も作曲しましたが、その荒れる感情の激しさにおいては『革命のエチュード』が一番ではないかと思います。
ショパンはこの曲を、ロシアによって陥落したワルシャワの悲劇に悔しさと怒りをぶつけながら、作曲したと言われています。彼の誕生する15年ほど前に小国ポーランドはロシア、ドイツ、オーストリアによって分割されて領土を失い、他国の支配を受けていました。ショパンはワルシャワ蜂起の当時21歳。彼はウィーンの地で演奏活動を行っていましたが、ポーランド人であるが故の差別に苦しみパリ行きを決意していたところでした。
上記のように、この練習曲集作品10はショパン20歳過ぎに作曲されたショパンのピアノ独奏曲の傑作の中では最も初期に属する作品です。したがって『革命』には、後年の曲にはない若々しい激情がストレートに表現されています。ちなみに、この練習曲集には他に『別れの曲』や『黒鍵』などの有名曲があります。

ラベル:ショパン