2014年10月28日

イメージクラシック「嵐」その10

シューマン 『マンフレッド』序曲

疾風怒濤の主人公に向けられる温かい愛情

 久々の投稿になります。実りの秋、毎年このシーズンになると、僕は決まってドイツロマン派の大作曲家シューマン(1810〜1856)の円熟時代のオーケストラ作品を聴きたくなります。

特に

交響曲第3番『ライン』
チェロ協奏曲イ短調
マンフレッド序曲

は演奏家を変えて繰り返し何度も聴いています。この3曲は、おそらくシューマンの作曲した交響曲、協奏曲、管弦楽曲の各ジャンルの中で最高傑作だと思います。この3曲は円熟時代の作品とあってか、オーケストラの響きがとても充実しています。ただ、僕が好んで聴くのは、それ以上の理由があります。

それは、

シューマンの音楽に

温かい愛情

を強く感じるからです。

特にマンフレッド序曲は、深い悩みをかかえた主人公マンフレッドに対する深い愛情を感じさせてくれます。音楽は疾風怒濤の激しい感情と深い憂愁が打ち寄せる波のように交互に表れるのですが、その響きにはどこか温もりがあって、不思議な余韻を与えてくれます。

 シューマンは愛する妻と8人の子供に恵まれました。大作曲家の多くが、生涯独身だったり、離婚したり、結婚していても子供に恵まれなかったりするなか、生涯一人の女性を愛し、多くの子供を育てた大作曲家はシューマンだけです。このようなシューマンの家庭環境が、彼の音楽に独特の温かさを与えていると僕は考えます。

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タグ:シューマン
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2013年10月13日

イメージクラシック「風」その14

ブラームス 『2つのラプソディ』より第1番ロ短調

ひんやりとした秋の風に揺れるコスモスの花

 日差しの強い日がここのところ続いていますが、青い空とコスモスの風景に流れて来る風は、紛れもない秋の風です。秋の風は僕の心の中のフィルムを晩秋に向かって回し続けます。そして、今年の秋こそはという毎年感じる強い思いに満たされます。

 ブラームスのピアノ曲『2つのラプソディ』第1番は、晴れた秋の日に吹く風のような趣をもった主題で始まります。抒情的な秋の風景に、時折り緊張感を与える低音の響きが印象的です。ブラームスがこの作品を作曲したのは、2曲の交響曲を作曲した後、40代半ばのまさに実の秋とでもいうべき時期でした。人生の秋を迎えたブラームスの自信と寂しさがひしひしと感じられる作品になっています。

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posted by やっちゃばの士 at 19:47| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年07月21日

イメージクラシック「星」その1

ホルスト 『惑星』より金星(平和をもたらす者)

 七夕の日曜日、天の川を見ようと舞浜海岸に出かけました。明るい東京湾の夜空は曇っていてほとんど星を見ることができませんでした。僕は何とか子供達に天の川を見せてあげようと葛飾区のプラネタリウムに行きました。僕は自分が小学生のころ行った静かなプラネタリウムを想像して行きましたが、最近のプラネタリウムは、DJがナレーションを務めたり、クイズがあったりして、昔と違って賑やかでエンターテインメント化されているようです。

 そんなことなので、僕は静かな音がないところで、満天の夜空を眺めてみたいと思いました。静かで音がないと言いましたが、僕の頭の中には自然とある音楽が流れています。ホルスト『惑星』の第2曲「金星」です。ホルストの『惑星』と言えば『ジュピター』の旋律の原曲である「木星」(快楽をもたらす者)やSF映画を彷彿とさせる「火星」(戦争をもたらす者)が有名ですが、夜空を静かに眺めて癒されたいという方には、「金星」がぴったりだと思います。

 弱音器付きの弦楽器が作る神秘的な響きは果てしなく広がる宇宙空間のようで、この音空間に、ひんやりとしたチェレスタの響き、甘い夢見るような独奏ヴァイオリン等が、可憐な星のように効果的に登場します。まさに心に平和をもたらすこの癒しの音楽を、僕はプラネタリウムで聴いてみたいなと感じました。

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タグ:ホルスト
posted by やっちゃばの士 at 12:45| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月02日

イメージクラシック「六月」その1

フォーレ 舟歌(バルカロール)第1番イ短調

雨上がり川面に映える青い空

 6月になりました。晴れた日の空気は瑞々しく、てても気持が良いです。紫陽花などこの季節の淡い色彩の花が、一層6月の持つ瑞々しさを助長しているようにも思います。

 フランスの作曲家フォーレの瑞々しい音楽は、この季節にピッタリです。僕は今まで「」のカテゴリーでフォーレの室内楽を何曲も取り上げましたが、雨が降っていない日もフォーレの音楽が聴きたくなります。特に、ピアノ曲集舟歌の第1番、とても歌謡的で情緒的なこの曲は、6月の瑞々しさを感じさせてくれる曲だと思います。瑞々しい空気の中に癒されていく喜びの感情に満ちています。EPSON005.JPG







タグ:フォーレ
posted by やっちゃばの士 at 07:58| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 六月 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年05月26日

イメージクラシック「静寂」その3

モーツァルト 幻想曲ハ短調

静寂の中に広がる深い喪失感

 モーツァルト幻想曲ハ短調、重々しい冒頭のアダージョは、異様で不気味な静寂感を持っています。転調を重ねながら下降していく音の不気味さは、

嵐の前の空が真っ暗になり、風がピタッと止む

光景に似ています。僕は以前「」のカテゴリーでこの曲を取り上げ、まるであの世の曲のようだと記述しましたが、この曲の背後には、何か深い喪失感のようなものがあるように感じます。

 この曲が作曲されたのは1785年、モーツァルトはウィーンで大活躍していました。外面的にはとても幸福そうに見えるこの期間ですが、特筆すべきは、この年に深い悲しみをたたえた短調作品が生まれていることと、秘密結社フリーメイスンに入会したことです。ピアノ協奏曲第20番ニ短調、ピアノ四重奏曲第1番ト短調などモーツァルトの短調の代表的な作品やフリーメイスンのための葬送音楽等がこの年に作曲されています。目に見えない精神的な体験が、この幻想曲には反映されていることは間違いでしょう。

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posted by やっちゃばの士 at 10:50| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 静寂 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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